理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

兵庫県警受理の告発状は、当初の告発状とは意味合いが異なる-「小保方氏が被疑者」との告発は受理されなかったということ

 
 兵庫県警が、石川氏からの告発状を受理した旨、報じられています。
 
「ES細胞持ち出し混入の疑い 告発状受理
NHK 515 1807
 
STAP細胞の問題では、理化学研究所が、実際には別の万能細胞のES細胞だったと結論づけていますが、これを受けて研究者から警察に提出されていた告発状が受理されていたことが分かりました。容疑者を特定せず何者かがES細胞を無断で研究室から持ち出して混入させた疑いがあるとするもので、警察は今後詳しい状況を調べることにしています。
この問題で理化学研究所は、去年12月、小保方晴子元研究員らがSTAP細胞だとしていたものは実際には、別の万能細胞のES細胞だったとしたうえで、誰が混入したか特定できないとする調査結果を公表しました。
これを受けて、理化学研究所に勤めていた研究者から警察に提出されていた告発状が、14日受理されていたことが、捜査関係者への取材で分かりました。告発状では、容疑者を特定せず、何者かがES細胞を、保管されていた研究室から無断で持ち出してSTAP細胞の研究に使われていたものに混入した疑いがあり、こうした行為は窃盗にあたるとしています。警察は今後、研究所の関係者から事実関係について話を聴くなどして、詳しい状況を調べることにしています。
小保方元研究員の代理人の弁護士は「告発の詳細が分からず、受理されたという情報もないので、特に申し上げることはない。ただ、小保方氏がES細胞を無断で持ち出したという事実はない」としています。」
 
 ちなみに、理研は、時事通信によれば、
 
「受理を確認していないので、コメントのしようがない」
 
 とのことです(http://getnews.jp/archives/958216) 
 
 この石川氏による告発については、このブログでも、以前に記事を書きました。
 
 ちょっと驚きましたが、被疑者名が変わっています。
石川氏は、告発当時、あれだけ小保方氏が盗んだ証拠がある、許さない、としてマスコミに語っていましたから、てっきり、当初の「小保方氏による窃盗」についての告発状が受理されたのか?と思いました。当時の報道では、次のように書いてあります。
 
「告発状によりますと、小保方氏が名声や安定した収入を得るため、STAP論文共著者の若山照彦教授の研究室からES細胞を無断で盗み出したなどとしています。」
 
名誉棄損ものの告発内容ですが、ところが、上記のNHKのニュースを読むと、「告発状では容疑者を特定せずに」と書いてあります。
小保方氏を被疑者と特定した告発状だったはずが、今回受理されたものは、「被疑者不詳」になっているということは、小保方氏を被疑者とする告発状では受理されなかったということです。告発の不受理の理由は、次のような事由が例として書かれています。
 
・犯罪が成立しないことが明白である
・告訴事実に構成要件該当性がない
・記載事実が不明確である
・記載事実が特定できていない
・告訴事実を立証する証拠がない
 
 この点について、独自に調査して、証拠があると叫んでいた石川氏には説明義務があります。 石川氏は、告発当時、どう説明していたか?
 

「告発人で理研OBの石川智久・元上級研究員がいう。
「小保方さんはSTAP論文が疑われた直後から、実験室にあった細胞サンプルをこっそり処分し始めました。怪しいと感じた理研の研究者有志がサンプルを保全して独自に調査したところ、小保方さんの共同研究者だった若山照彦さん(現・山梨大教授)の研究室から紛失していたES細胞が見つかった。そこで、私は彼女がES細胞を窃盗したと推定し、刑事告発に踏み切りました。日本の科学の国際的信頼を回復するためにも絶対にうやむやにしてはいけない」
 小保方氏は20114月から20132月まで若山研の客員研究員として自由に研究室に出入りし、ES細胞を手にできる立場にあったという。
「小保方さんの研究室から見つかったES
細胞は、若山研にいた中国人留学生が作成、凍結しておいたもの。若山研が理研から山梨大学に引っ越したときに紛失が発覚し、留学生は研究を継続できなくなったそうです」(石川氏)」

http://news.ameba.jp/20150205-430/ NEWSポストセブン)
 
 より詳しくは、以下の東スポの記事で書かれています。
 
 あれだけ嵩にかかって、小保方氏を窃盗の犯罪人扱いしていたにもかかわらず、それでは受理できないとされたということですから、当初の告発理由は認められなかったということです。名誉棄損罪に値することをしておいて(親告罪ですが、小保方氏側がそれで逆告発をしないだけのことです)、「被疑者不詳」に切り替えざるを得なかった理由とそれに至る経過を、記者会見して述べるべきでしょう。
 
 また、マスコミにしても、この重要な点を曖昧にして、あたかも小保方氏を被疑者として特定された告発として注目を集めたものが、今回受理されたかのような印象付けをすることは問題です。上記のNHKの記事をみても、
 
「これを受けて、理化学研究所に勤めていた研究者から警察に提出されていた告発状が、14日受理されていたことが、捜査関係者への取材で分かりました。」
 
 と書き、別途「被疑者不詳の告発」と書いているものの、「あの騒がれた告発が受理されたか。やっぱり小保方氏は黒だったんだ」という印象を一般に与えるものになっています。マスコミは、小保方氏代理人の三木弁護士や、理研にコメントを求めていますが、告発が受理されたのであれば、なぜ、告発人の石川氏に取材してコメントや説明を求めないのか、さっぱりわかりません。告発したときは、石川氏に殺到したではありませんか。マスコミにしても、同じ「告発状」ではあるけれど、意味合いが大きく違ってしまっているということをわかっているのでしょう。
 
 
●それで、「被疑者不詳」での告発にしても、もともと無理があります。
 
 いったい、誰の所有、占有だったのか?
 誰が、「盗まれた」という被害意識を持っているのか?
 
 という根本のところが、全く不明だということです。若山氏、大田氏、理研、小保方氏といった考えられる関係者が、いずれも「知らない」といって否定しているわけですから、どうやったら窃盗罪が成り立ちうるのか、疑問です。
 
 石川氏は、ES細胞のチューブが小保方研の箱にあったことが、「窃盗の証拠」だとし、「箱は理研の所有物だ」とし、「出向(客員)研究員が出向先の所有物を盗んだとなれば、それは窃盗だ」と述べています。いったい、箱の窃盗も含めていっているのか、それとも、チューブの話に限定して言っているのか、それも曖昧です。
 
 今回の「被疑者不詳」による告発が受理されたことによって、一応、事情聴取等の捜査が行われることになるようですが、これまでも曖昧がところが少なからずありましたので、その辺がはっきりしてくるのはいいのかもしれません。
 
あのチューブが入っていた箱は、若山研が山梨大に移った際に、小保方研に移管されたものなのか?(小保方氏はそのように説明している。石川氏は、小保方研にあの箱があること自体が窃盗の証拠だとしている)。理研の備品であることは間違いないか? 備品台帳には移管の事実関係に関してどう書いてあるのか?
あの箱は、若山研にあった際には、どのように分類されて細胞チューブ類が保存されていたのか? 小保方研に移管されたとき、中には何がどのような整理の下に入っていたのか? 若山研内で不要なものは、そのまま残して移管されたということか? (不要な)中身が残っていたとして、小保方研に移管の際に、中身のチューブのチェック、備品台帳への登録等はしていたのか? 現在はどう書かれているのか? あのES細胞チューブは、その移管、移動の際には存在が確認されていないのか?
物理的に、若山研から小保方研にあの箱を移動させたのは誰なのか? その者は、どういう説明をしているのか?
あのチューブに入っていたES細胞は、誰が作ったものなのか(大田氏ということか、留学生なのか?)。そうだとして、その占有管理を、若山研、大田氏、留学生、小保方氏、理研のいずれかが主張しているのか?それぞれ、どのような認識を述べているのか? 誰も占有管理を主張していないのであれば、なぜ、あの箱に入っているのか?
⑤桂調査委報告書では、留学生の話には言及されていないが、NHKが報じたあの留学生の話は何だったのか? 紛失に気が付いて研究継続ができなくなったということであれば、理研内で紛失届なり調査なりがなされなかったのか? 当然最初に探すのは、小保方研に移管された保存庫だと思われるが、それはしなかったのか?したとして、その際には見つからなかったのか?
⑥小保方研で、出入りできたのは誰か? 入退室状況は、記録に残されているのか? 
 
 等々、ともかく、時系列に沿った、基本的な事実関係の5WHが、マスコミ報道ではろくに明らかにされず、印象操作だけが先行しています。まずは、基本的な事実関係を明確にし、曖昧さを少しでも少なくすることが必須です。そのために、今回の告発受理によってそれらが明らかになるのであれば、悪くはないのかもしれません。
 NHKのあの世の中に不正を印象付けた報道の是非を判断するための材料も揃ってくることでしょう。