理研に「残存試料の帰属一覧」「分析計画」「胎盤の分析者・各見解」の情報公開を求む
前回記事の続きですが、残存試料の帰属に関してもう少し見ていくと、モニタリング委評価書には、参考資料⑩として「理研の対応について」とのペーパーが付いています。
そのp59の下段から、「3. 科学的検証に関して」との節があり、その冒頭に、要約すると次のような趣旨のことが書かれています。
「3月18日にCDBセンター長の指示により残存試料保全がなされ、帰属につき解析可能な試料から遺伝子の予備調査を開始した。最終的にすべて帰属がついたのは、小保方氏本人による確認を経た7月19日であった。以降、全所の研究者たちが総力を挙げて、精密な解析に取り組んだ。その解析結果をもとに、桂調査委員会報告書をとりまとめている。
解析が困難とされたSTAP細胞由来のパラフィン固定試料を含む保存試料から高水準の解析結果が得られたことは、当初生命科学の専門家も想定しなかった科学的成果である。執念とも言うべき第一線の研究者たちが、最先端解析技術を駆使してSTAP細胞本体を徹底的に追跡した結果であり、理研としての責務を果たすことができたと考えている。」
理研としては、ここで言わんとしていることは、「理研の役職員が総力を挙げて、最先端技術も含めて不正解析に取り組み、使命を果たした」ということでしょう。しかし、ここの数行の記述から、次のことが分かってきます。
① 裏を返せば、理研に帰属しないものは解析できなかったということ。
② 桂調査委における解析は、理研の研究者が行い、外部に委託等したわ けではなかったこと。
そうすると、理研に帰属したもの、帰属しなかったものの一覧があるはずですから、それを情報公開請求により、明らかにすることができると思われます。評価書では、「保存試料の分析計画」という言葉を使っていますから、それとともに情報公開がなされると、有益な情報が得られることでしょう(「木星通信」さんなどは、情報公開請求に慣れておられるようですので、お願いできないものでしょうか・・・笑)。
そして、この場合の「試料」には、実験ノートも入るのではないでしょうか? ハーバード大との共同研究の経緯から(理研若山氏の卵子への細胞挿入の技術支援に期待)、小保方氏が客員研究員時代の研究過程・成果は、ハーバード大に帰属するとの整理をしているのだとすれば、実験ノートも同様でしょう。
情報公開によって得られる
「保存試料の帰属一覧」
「保存試料の分析計画」
を分析することによって、桂調査委の調査の「限界」もまた明らかになることでしょう。
二点目の、桂調査委での一連の解析は、理研内部の研究者のみで行ったという点から分かることは、その中には、あの小保方氏の研究室に無断で侵入して家探し(やさがし)をし、写真もとってNHKに渡し、笹井氏-小保方氏間のメールも含めて情報をリークした「有志研究者」たちも含まれているということでしょう。そういう明らかにバイアスのかかった研究者たちを含めての「解析」に客観性が担保されるのか?という疑念は残ります。
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Q 胎盤がなぜあるのか?という疑問についてはどう考えるのか?
A これに関しては、我々は疑っている。あの光る胎盤は、血液とか胎盤以外ものだった可能性があるということは、専門家に見てもらったところ、そのような回答を得ている。これは切片を切ったらそうでなかったというのがあるが、それがどうだったかは最終的に検証できなかった。しかし、胎盤であるとの証明があるとは思っていない。胎盤でないというところまで突き詰めて証明することは難しかったが・・・、胎盤であったとの証明があったとは思っていない。
A 我々の調査委では確認できなかった。
Q はぁ・・・、胎盤の形状を保持しているものは確認していないのか?
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「疑わしいと言っている人がいる」ということは、そう言っていない人もいるということになりますが、理研の研究者の誰が、何人で画像を確認し、それぞれどういう見解を述べたのか、について明らかにされるべきでしょう。そこから、桂調査報告書が、「研究の価値を高めるために強引に胎盤と断定した可能性がある」とまで述べた根拠の薄弱さが明らかになることでしょう。この記述は名誉棄損ものです。
それから、理研の研究者が総力を挙げて解析に取り組んだということであれば、
② 遠藤氏が、「ES細胞混入では、シャーレに張り付くのですぐにわかってしまう」との指摘を調査報告書公表後にしているが、そういう知見は専門の研究者であれば常識ではないのか?その知見との整合性は検討しなかったのか?
といった点が、疑問として出てきます。
以上まとめると、情報公開により明らかにされるべきは、
①「保存試料の分析計画」(注:残存試料には実験ノートを含む)
②「保存試料の帰属一覧」
といったところでしょうか。桂調査委報告書の解析結果は、論文のような
形にまとめて公表すると、12月の会見で述べていましたから、そのうち出て
くるのでしょうが、情報公開請求の形で、上記の点を明らかにすることは、
有意義でもあり、インパクトのあることだと思います。
理研とすれば、このモニタリング評価委の評価書を以て、STAP問題に最終
的にけりをつけたい(つけたつもり)と考えているのでしょうが、皮肉なこ
とに、そこでの数行の記載から、かえって桂調査委の不正調査が科学的に限
界があり、杜撰なものだったということが明らかになる可能性のある材料を
提供することになった、とは想定していなかったことでしょう。