理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

日経サイエンス3月号の「STAP細胞の正体」特集について


 本日1月24日付で、日経サイエンス3月号が発売となり、特集として「STAP細胞の正体」ということで記事が掲載されています。


 12月末の桂調査委員会報告書の解説的な記事と、1月以来の流れの整理となっています。


 桂委員会報告書は、門外漢にはとっつきにくいですが、日経サイエンスの記事で、ある程度理解が進むような気がします。
 それは、コメント欄にいただいているご指摘の意味の理解の促進にもなります。
(大田浩氏のESのこともいろいろ書かれています)。

 ・・・が、これらの記事に新味はないように感じました。
 というか、桂調査委報告書をかみくだいて紹介し、遠藤、若山その他の諸氏の主張をなぞる以上の内容は少ないように思いますが、皆さんの印象はどうなのでしょうか・・・??
 コメント欄に指摘を寄せていたいている皆さんにとっても、ご指摘の論点に応えるものにはなってはいないのではないかと思います。

 笹井、丹羽氏の「ES細胞では説明がつかない」諸点についての指摘との関係で、何か触れているのだろうかと思いましたが、まったく触れていませんでした。
 丹羽氏が12月19日の会見で明らかにした「(FI培養条件下で)ES細胞は4~5代の継体後に全壊した」との実験結果との関係にも触れていません。

 「光る胎盤」の件も、専門家が写真をみたら「証明ができていない」との判断だったので、「『ES細胞では説明がつかない』との根拠は最初からなかったのだ」とあっさり書くのみです。普通の科学ジャーナリストだったら、「切片を直接調べなかったのか?」「丹羽氏は切片を慎重にみて判断したと言っていたが、今回の報告書の写真での判断による指摘にどう考えているのだろう?」と考えて、取材すると思うのですが、それもしている様子はありません。取材をかけて断られて様子でもないようですので、実に不思議です。

 若山氏自身が一からトライしてSTAP幹細胞の作製に成功した際の経過についてもよくわかりません。 マウスからSTAP細胞を作ったことが記者会見でも明言されていたわけですが、その際のマウスの選択はどうしたのか?はおそらく重要なファクトでしょうから、もっと取材してもいいと思うのですが・・・。当時は、若山氏だけでなく、院生も成功していると若山氏は述べていたのですから、なおのことです。
 そして、若山氏が一から取り組んで作製に成功したSTAP幹細胞(FLS-T1、T2)も、他と同様に、「(STAP細胞と比較するために作った)若山マウスES1と同一株だった」と日経サイエンスp38には数行でさらっと書かれていますが、マウスの選択を自身で正しくしたはずのつもりの実験によって得られたSTAP幹細胞が、やはり他の幹細胞と同様に、「若山マウスES1と同一株だった」というのは、どう解釈すればいいのか、よくわかりません。

 遠藤氏への取材結果はふんだんに入っていますが、「ES細胞では貼りつき、浮遊細胞塊にならないので、見た目で区別がつく」とのブログコメントでの指摘や、「TS細胞と混ぜることが、小保方氏のレシピだ」という指摘についても、特に照会していないように思いますが、見落としでしょうか・・・?

 小保方氏については、「次の実験でどういう細胞が最適かを熟知し、ストーリーにあうような細胞をたくみに使い分けていた疑いもある」というように、超絶技巧のマジシャンであるかのように述べています。
 調査委報告書では、小保方氏の新たな『捏造』認定に当たっては、その出勤、出張記録を調べて材料にしていますが、「たくさんできた」時期のすべてに、小保方氏が張り付いてせっせとES細胞にして、培養条件、増殖スピードなどの微妙な調整をやっていたのかについても、それらの出勤記録からみて可能なのか? そういうチェックもできるのではないかと思います。

●それにしても、
 とかの記事にみるように、「小保方氏の捏造を暴く正義のヒーローの多くの研究者たち」というトーンで、称賛記事になっていますが、彼らが言っていることを、拡声器的に紹介するばかりで、その科学的整合性とか、他の解釈可能性とか、科学ジャーナリズムらしい視点での分析等も行ってほしいものです。
 そういう論点も全部つぶした上で、やはりESだったのだというのであれば納得もできますが、ここまで徹底的に?無視しているとなると、かえって疑念が募ります。亡くなった笹井氏も浮かばれないでしょう。

 東大に分析を委託していたのはNHKだったということを、今回の記事で初めて知りました。特集の続編を作るのかわかりませんが、これまでの報道の検証もなされてもいいのではないかと思います。 

コメント欄で教えていただきましたが、今週の週刊フライデーに「理研の元研究者が、ES細胞を盗んだのは小保方氏しかいない。確信している。証拠も揃っているので、窃盗容疑で刑事告発する」と言っているとの記事が掲載されているそうです。

 中身は読んでいませんが、「石川氏」とあります。どういう「証拠」なのか、告発する以上は、科学者として理路整然と述べてもらいたいものです。
 告発となれば、小保方氏にとっては極めて不本意で、弁護士氏に依頼することにならざるを得ないのでしょうが、その過程で、「ES細胞では説明がつかない」諸点が、より明確に認知されるようになり、科学的議論に結び付けば、まだ救われるのかもしれません。


※ コメント欄には、あれこれ、読者の皆さんの判断材料になるようなものを書き込んでいただければと思います。私自身の理解能力を超えるものも少なくないですが、そういう材料をまとめて、論点化していく上で、諸々のご指摘は重要だと感じています。