理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【補足1】小保方氏の早稲田大・博士号の学位維持はほぼ確実に―早稲田大の冷静な事実認定による対応は高く評価されるべき

 
小保方氏の学位に関して、早稲田大学の「猶予付き取消」処分が、依然として批判を受けています。しかし、批判といっても、「早稲田の権威は失墜した」、「不正があるなら取り消すのが当然」…的な総論的、ムード的批判が中心で、事実関係(事実認定)を踏まえない指摘がほとんどだと感じます。
10月の処分発表のもととなる7月の調査報告書は、構成や筋が捉えにくく、肝心のメッセージである、
 
「小保方氏も、審査側も、審査会の際に最終稿だと思い込んで、ろくに見ずにパスさせてしまったため、途中稿が学位論文として認定される形となってしまった。したがって、この調査報告書では、その途中稿を学位論文だと位置づけた上で、一連の不正の有無の検討を行う。また、実際の審査経緯、その過程での小保方氏側から提出されていたプレゼン資料、論文の内容や、プレゼンの公聴会や指導教官からの指摘内容等について、保存資料や関係者の証言等から推定し、小保方氏の実験の実在性、研究成果の妥当性、最終稿として提出されるはずだった論文における不正の有無についても、詳細に調査検討を行った。」
 
「その調査・検討の結果、
①小保方氏の学位論文として審査がなされたのは、査読付きで国際的にも評価が 高いTissue誌に掲載が認められたものを基にしており(早稲田大の学位論文は、 
 その基となる研究が、外部の査読付き学術誌に掲載されていることが前提)、内容
 的に高い評価を得ているものであること。
ハーバード大への出張調査により、実験ノートが存在し、研究室の研究者の証言
 も得られたことから、論文の裏付けとなる実験の実在性が確認できたこと。
③論文審査は、実質的な判断をする公聴会時のプレゼン資料の内容まで資料確認と証言とにより、中核的画像3枚が入った内容で行われたこと、(最終稿の一歩手前の)公聴会時論文に対する指摘も確認されたこと等から、小保方氏から事後に提出された最終稿なるものが、本来の学位授与対象となる論文であったことが推認されること。
その最終稿のイントロ部分には、外部から指摘されていた米国NIHサイトのQAの文章が依然として残っていたこと(ただし、当該個所の参考文献としてはNIHサイトは明記してある)から、小保方氏が外部からの指摘を事後に修正したとは考えにくいこと。」
 
 といった点が十分に伝わっていないことが、報告書の受け止められ方が誤解を招いていると思われます。特に、冒頭のイントロ部分で、その点を明確に書いていないことや、結語や途中の部分で、そういう調査内容には一切触れずに、
 
「本来であれば、これらの問題箇所を含む本件博士論文が博士論文審査において合格に値しないこと、本件博士論文の作成者である小保方氏が博士学位を授与されるべき人物に値しないことも、本報告書で検討したとおりである。」
「内容の信ぴょう性が低く、学位が授与されることは到底考えられない」
 
 といった、本来のメッセージとは乖離した不規則的表現がなされていることが、誤解を増幅する要素となっています。この指摘が対象としているのは、「誤って途中稿を提出・製本してしまい、形式上、学位論文として残っているもの」であるということが、その結語部分だけを読んでもわからないので、この調査報告書は、小保方氏の研究内容や最終稿自体に対しても、否定しているのだ、と何となく思わせてしまいます。
 おそらく、世間の反応や空気を意識して、こういう構成、表現になってしまったのでしょうが、せっかく詳細な残存資料分析、多くの関係者の証言、それらの上に立った慎重な推論の積み重ねに立った調査結果であることが、十分に伝わらない結果になったことは残念なことです。
 
●また、今回の処分においても、「不正」の概念に、「過失」の要素を入れ込んでしまったことも、誤解増幅の大きな要因になっていると思います。世間一般からみると、「「不正」を行ったのに、なぜ取り消さないのか?」という印象になってしまいます。そして、処分の理由となった「基本的注意義務違反」が、「十分に立派な学位審査も実質的に行われ、そのまま提出すれば何らの問題なく学位授与されたはずの最終稿ではなく、途中稿-しかも、初期段階の途中稿―を間違えて提出・製本してしまった」ということである旨が、伝わっていない憾みがあります。
 
 しかしそれでも、調査報告書と処分内容とをしっかり読み込めば、その中核的内容は十分に理解できます。早稲田大の調査報告とそれを踏まえた大学当局の処分内容を批判するのであれば、その個別の事実認定と推論に対して、批判をしなければなりません。それをせずに、自分の思い込み、先入観だけで批判するのでは、ピントはずれのものとなり、単なる罵詈の類いに堕してしまいます。
 
● 本当に不思議なのですが、小保方氏を批判する人々は、決して、(学位論文の基となった)Tissue誌掲載論文の意義や、その研究内容自体については、ほとんど触れることはありません。この論文は、小保方氏単独のものではありません(ただ、メインでの実験者なので、小保方氏が筆頭著者で、学位論文とすることについても他の著者の了解済み)。ですから、もし、この論文を批判・否定するのであれば、他の共同著者に対する批判・否定にもなりますが、そういう批判等は見受けられません(どこか、専門的サイトにあるのかもしれませんが、ネット検索ではすぐには出てきません)。
 批判する材料は、相も変わらず、NIHサイトの初歩的QAや、コスモ社の写真等のコピペ、そして、5月に提出された最終稿の更新日付がその1週間前だったから指摘されていた問題点を修正していたに違いない、といった類いの話ばかりです。それらは、ネットでの指摘をもとにマスコミが大々的に取り上げて話ばかりですが、すべて7月の早大調査報告書において調査分析がなされており、疑問は解消されています。
 
 以上の通り、小保方氏の学位論文は、実質的には、小保方氏が提出した最終稿の一歩手前の公聴会論文と公聴会プレゼンテーションPPT(パワーポイント)により審査され学位授与は問題ない旨の判断はなされていますので、あとは、小保方氏が5月に提出した最終稿で、NIHサイトのQAの「コピペ」を、参考文献として書くだけでなく、「引用」に準じた表記をする等の修正をすれば、学位の維持は間違いないということになります。


 今後、改めて、Tissue誌掲載論文や、それをもとにした最終稿と推定された論文の内容や実験等のサブスタンスの部分について疑義が出されるのであれば、改めてそれについて検証のための調査がなされるのでしょうが、現時点ではそういう動きはありませんから、最終稿(の微修正)の提出による差し替えという手続き面の補完により、学位は維持されることになります(実験の存在については、今回の調査で実験ノートの存在とその記載や研究室の者の証言により裏付けられる旨判断されていますし、画像掲載ミスについては差し替え済みかと思います)。
 
 コメント欄に寄せられているような「その後提出された論文にも不正があり、信憑性や妥当性が著しく低いとされた」という事実はありませんし、「現実問題として、彼女に博士号を授与出来る理由がどこにもありません」というのは、早大調査報告書の判断とは正反対の評価ですから、それならそれでその根拠が示される必要があると思います。


 もう既にこのブログ記事で、具体的に調査報告書のポイント部分を原文を引用しながらご紹介していますので、読んでいただければわかると思いますが、この後、時間があれば、改めて原文を引用しながらご紹介してみようと思います。
                                   続く