理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

理研STAP検証実験中間報告、大隅理事長ブログ、学会メッセージ等について

 
 最近の一連の動きについて、コメントしたいと思います。
 
理研STAP検証実験の中間報告】
 
 
 先日の理研STAP検証実験の中間報告がなされ、マスコミには「STAP細胞できず」との見出しが躍りました。「22回試みて駄目だったのだから、元々なかったのだろう。死んだ細胞の蛍光と間違えたのだろう」と断定的に報じるものが多かったように思います。
 
しかし、今回の検証実験の中間報告は、全体の中の一部分であり、実験を行った丹羽氏も、慎重に留保をつけています。正確な発言を起こしているものではありませんが、おおよそ以下のような趣旨の発言をしていたかと思います。

①今回の実験はC57BL/6の遺伝的背景を持つマウス+脾臓+酸処理について
 のもの。それ以外の系統のマウス、臓器、細胞、ストレス手法については今後試
 す。ある遺伝的形質のマウスでできなかったからと言って、形質が異なるマウス
 でできないとは限らない。
②小保方氏から助言を受けたが、それを理解できるまでに至っていないので、そ
 れは試みていない。
③実験は、手技に依存する面もあるので、自分らができなくても、小保方氏ができ
 る可能性はある。
④STAP細胞はあるということを何が何でも証明するためにやっているわけではな
 い。ただ、検証実験は義務としてやっているのと、科学的関心に基づきやってい
 るのと両方ある。
⑤4月の記者会見で述べたことに変わりはない。
論文撤回はされたが、撤回理由はSTAPがなかったということではなく、画像処理等のミスがあったことが理由となっている。
計画に従い、脾臓以外の臓器細胞でも、他の物理的ストレス手法も含めて実験を今後行う。
 
 中間報告の「今後の展開」の部分でも、次のように書かれています。
 
「4. 今後の展開
57 日齢のマウスからの臓器摘出と細胞の回収には熟練した技術が必要である可能性があることから、11 月末迄の期間に限って小保方氏の参画を得て、同氏による手技を第三者により確認する。
C57BL/6 以外の遺伝的背景を持つマウス、脾臓以外の臓器からの細胞を用いて、論文等に記載された毛細管通過刺激、各種酸処理等による終末分化細胞からの多能性細胞誘導現象の有無について3 月末迄を目処に確認する。」
 
 まだ初期段階での中間報告ですから、今後の検証実験の進捗を待つのが、科学者としてのあるべき姿勢だと思いますが、なぜか、検証実験を続ける意味はないから中止しろという主張を相変わらずする科学者やマスコミが多いようです。
 中間報告の会見では、NHKの女性記者がそういう観点から、いきり立って質問しているのは目立ちました。相澤顧問に皮肉を言われたことへの反発もあるのでしょうか、感情的とも思える語調で執拗に迫っていたのには、かなりの違和感がありました。NHKスペシャルの報じぶりに批判が多いだけに、その内容を早く追認させたいという思惑があるのでしょうか・・・?? 最後の方でTBSのワイドショー用と思えるアナウンサーのような者の延々たるつまらぬ質問には、辟易した人も多いことでしょう。あんなバラエティー番組用の質問をさせるなど、TBSの評判を落とすだけだと思うのですが・・・。
 他方で、片瀬久美子氏や、日経サイエンス古田彩氏らの質問に、丹羽氏は積極的に答えていましたが、つまらない質問や繰り返しの質問に辟易していただけに、(彼女らのスタンスは別として)専門的質問にはほっとした面もあるのでしょう。
 
 今回の検証実験は、会見の最後で相澤顧問が「全容解明に役立つと確信する」と述べていたように、小保方氏による再現実験結果とともに、研究不正調査における判断材料ともなります。検証実験には小保方氏も参加するということですので、実質的に再現実験と重なってきています。その結果を淡々と待つということでしょう。
 
「検証実験を個人でなく理研として行うことに疑義が示されていることを承知している。論文が撤回された以上検証する意味はないという意見や、小保方氏が参加することへの疑義も十分認識している。ただし発展段階の研究では、その人がやらないとできないということがあり、最終決着を小保方氏につけてもらうことには意味がある。
STAP細胞研究がどのようなものだったか、問題の全容解明のためにこの検証実験は必須である。」
 
 まことに正鵠を射た主張です。
 相澤氏は、笹井氏の死去を受けての小保方氏の様子を問われて、本人しかわからないことを想像で答えるのは差し控えると述べつつも、実験取組みには積極さを見せているかのような発言をしたことには、ほっとするものがありました。気持ちを取り直して取り組んでもらいたいものです。
 
 マスコミのダブルスタンダードや健忘症は相変わらずです。
 若山教授は、2月に次のように述べていました。公表されたプロトコルであっても、他人が再現することが難しいのはもちろん、自分自身も研究環境が変わるとすぐには再現できないということです。
 
5.あなたのラボでも再現性が低いそうですね
Y:ありうる事です。私自身ラボを移った際今まで出来ていたクローンマウスの作成に半年かかりました。自分の持つ技術でさえそうですから人の技術であれば再現が難しいのは納得できるものです。」
 
 
大隅分子生物学会理事長のブログ記事】
 
 さて、この検証実験の中間報告を受けて、分子生物学会の大隅典子理事長がブログに記事を書いています。
 
 
「さて、この「小保方氏の参画」については、理化学研究所から630日の時点で公表され、それを受けて日本分子生物学会からのは、論文の疑義についての調査が先であり、本人が検証実験に参画することには問題がある、という趣旨の理事長声明を発出しました。
 
この点に関して、小保方氏の実験参画は「権利」として認められている、ということをご指摘頂きました。根拠となっているのは、文部科学省の研究不正に関するガイドライン(平成1888日付)です。以下、該当箇所を転記します。
  (ガイドライン抜粋―略)
この「被告発者」が「自らの意志により」「再実験などにより再現性を示すこと」を「申し出た場合」は、「それに要する期間及び機会(機器、経費等を含む。)が調査機関により保障されなければならない。」ということになっているのです。
 
ちなみに、6月30日付の理研からの発表には「本人が申し出た」とも、上記のような根拠があるとも書かれていませんでした。
 (中略)
したがって、本人参加の実験には正当性があり、11月末までそれを見守るしかないということのようです。(以下略)」
 
この記事でわかったことは、大隅氏は、やはり推測通り、文科省ガイドラインの権利としての再現実験保障の条項の存在を知らなかったということです。かなり以前、同ガイドラインの紹介はしていましたが、再現実験の保障の条項には言及していませんでした。もし知っていたら、あの分子生物学会理事長声明での凍結要請などができるはずがないと思い、そう推測していたわけですが、案の定そういうことでした。
人から教えてもらって初めて知ったとはお粗末な限りで、その上で、「本人参加の実験には正当性があり、11月末までそれを見守るしかない」と判断したのであれば、あの理事長声明は筋として撤回されるべきではないのでしょうか?
税金の無駄遣いで、「国民に対する背信行為」とまで断じているのです。
 
「一方で、多くの論文不正についての疑義がきちんと分析されず、それに関わった著者らが再現実験に参加することについては、当分子生物学会会員を含め科学者コミュニティーの中から疑問視する声が多数挙がっております。このように当該機関が論文不正に対して適切な対応をしないことは、科学の健全性を大きく損なうものとして、次世代の研究者育成の観点からも非常に憂慮すべき問題であるとともに、税金という形で間接的に生命科学研究を支えて頂いている国民に対する背信行為です。
 
 「実験参加に正当性があり、見守るほかない」と納得したのであれば、それをブログで呟くのではなく、理事長声明の撤回ないし釈明を行わなければなりません。
 
 それは別として、大隅氏の理解はかなり混乱しています。理研としての検証実験と、小保方氏による再現実験とを混同していると思います。
 小保方氏による再現実験のほうが、文科省ガイドラインにおいて保障されている「再現実験」であり、理研による検証実験は、それとは関係ありません。検証実験は、あくまで理研自身の判断で、社会的責任を果たすとの趣旨から自主的に行っているものであり、そこに小保方氏が参加させるかどうかは判断次第です。参加させたほうが、実があるものとなるだろうとのことで参加させることとしたのでしょう。小保方氏単独による再現実験について別の者による追試、検証を同時に行い得るという意味でも有効と判断したのではないかと想像されます。単に小保方氏だけの問題ではなく、理研として特許出願をしていることからしても、理研自ら検証する必要性はあると思います。
 
 大隅氏らは、二言目には「税金が・・・」と言いますが、自分自身が、税金で支えられている国立大学の教員であることを忘れていないでしょうか?
 あくまで科学者、研究者、教育者として雇用されている教員であって、ブログや学会その他で非科学的非難や評論を行うことは本来職務ではないはずです。科学者として評論するのであれば、もっと、科学的視点からの論点整理を行い、STAP細胞の存否について肯定につながる材料、否定につながる材料を集約し、そこからさらにどちらの立場に立つにしても、仮説を煮詰めていくということではないのでしょうか。
 仮に検証実験が不調に終わったとしても、依然として、ミステリーは残ったままです。ES細胞説でも、ES細胞・TS細胞混合説でも、いずれでも説明できない部分があり、それらを説明できる論拠があって初めて、捏造仮説が真実味を帯びてくるのだろうと思います。あのミステリーに科学的関心を抱かないというほうが不思議であり、関心を抱いているからこそ、笹井氏もSTAP仮説は最有力な仮説との考えを最後まで維持し、丹羽氏も義務としてだけではなく、科学的関心を持って取り組んでいると述べているのでしょう。
 
 大隅氏は、ブログ記事の最後で次のように述べています。
 
近畿大学医学部病理学講師の榎木英介氏は、直近で、次のような2つのブログを書いています。
とくに前者の記事は、科学の世界における「真実」を事件の「真犯人」に置き換えて、「真犯人はこの人だ!」と言うためには、科学者がありとあらゆる証拠を提出しなければ「黒」とは言えない、という説明をしています。検挙したつもりであっても、真犯人でなければ、やがて葬り去られるのが科学の世界の掟です。」
 
 「STAP細胞があるというなら全証拠を出せ」ということで、それはそれで正論かもしれませんし、笹井氏が述べたように、「一点の疑念もなく、STAP細胞の存在を説明することができない」ことは確かだとしても、しかし他方で、

・笹井氏の提示している最有力仮説だとする主張を覆す材料はまだ出ていない
 事実、
・若山氏自身が自ら再現した事実、
理研2人の研究者が第一段階に成功した事実、
・挿入した細胞はES細胞とは異なる特色を持っていたと若山氏が述べていた
 事実、
・丹羽氏が自ら確認した事実や、
・クローン羊のドリーの再現の経過、クローンマウスの若山氏自身の体験の件

もあります。それらの一連の事実や材料に対して、何らの科学的関心も示さずに捏造と決めつけるのは、適切ではありませんし、丹羽氏が一ケースについて繰り返しトライしても失敗したことを以て、「STAP細胞存在せず」と決めつけるのは早計というものでしょう。
 もちろん、丹羽氏が言っていたように、科学者は、論文の査読を受けて、時限を切って追試や補完を求められることにはよくあることで慣れているということですし、小保方氏自身も、4月の会見で、実験環境を与えられて実験させてくれればSTAPを作製するし、ビデオを入れてもらってもいいとも言っていましたから、11月末なり年度末での結果を待てばいいと思います。
 仮にできなかったとしても、上記の一連の事実のミステリーは解消されるわけではありません。
 
 
分子生物学HPでの大隅理事長の晩夏のメッセージ】
 
 ところで、分子生物学会のサイトをみると、819日付で、理事長による晩夏のメッセージが出されています。
 
(東大加藤教授の研究不正調査発表の)「その直後、85日に本学会員であった笹井芳樹博士が自らの命を断ったという痛ましい知らせが飛び込んできました。ご遺族および関係者の方々には心からお悔やみ申し上げます。また、もっとも身近なCDBの方々におかれましては、動揺も大きいことと拝察いたしますが、くれぐれもこれまで以上に良いサイエンスを続けて頂ければと願っています。Web上には各種の憶測など取り沙汰されていますが、その中で、あたかも本学会が笹井博士を追い込んだ、というような批判につきましては、まったく不当なものであると申し上げておきたいと思います。本学会webページ上に発出されている要望等において、個人を対象として述べたものは一切ありません。また、7月末のTV報道に関して、本学会の立場で関わったというようなこともありません。
 
 少なくとも、事実として言えることは、分子生物学会と理事らは、
 
分子生物学上の科学的視点から、笹井氏の最有力仮説とする材料の検証や、若山氏らの2月の証言等における材料等を踏まえた論点の整理と検討を行おうとしなかったこと。
NHKからの要請によって番組上で論文検討をしたが、分子生物学会としては何らの科学的検証を行おうとすることなく、NHKで述べた「7割近くに疑義」という根拠を改めて示すことはなかったこと(=NHKのレッテル貼りに加担しただけの結果となったこと)
若山氏、遠藤氏の主張の不整合について検証を加えることなく、無批判的にそのままに受入れてその増幅をしたこと。
文科省ガイドラインにおける「権利としての再現実験」規定の存在を認識しないまま、再現実験、検証実験の凍結を理事長声明として発出し、世論を煽ったこと(=小保方氏の権利を侵害しようとしたこと)。その規定の存在に気が付き、実験は正当と理解した後も、声明の撤回又は釈明をしなかったこと。
 
 ということでしょう。
 社会から専門家集団と目されている分子生物学会とその主力メンバーが、科学的視点からの論点整理や検証を何も行わないままに、捏造だとの断定的見解を繰り返したことは、笹井氏及び小保方氏に対するバッシングを増幅させたことは間違いありません。というより、それら自体が非科学的バッシングそのものでしょう。
「あたかも本学会が笹井博士を追い込んだ、というような批判については、まったく不当なものである」と言われても、白々しく響くだけです。
 
文科省理研再生研究の「最低評価」】
 
 もう一つ別の話で、文科省理研評価に関して、次のような記事がありましたので、コメントしておきたいと思います。
 
理研の再生研究に「最低評価」 文科省 STAP問題の対応のまずさ影響
  2014.9.3 08:21 (産経web
 
 文部科学省独立行政法人評価委員会が、理化学研究所の平成25年度の業務実績評価で「発生・再生科学総合研究」と「法令順守、倫理の保持等」の2項目で「改善が必要である」という事実上の最低評価を付けたことが2日、関係者への取材で分かった。評価の急落で、理研再生医療分野の予算に影響しそうだ。
 
 理研の発生・再生科学総合研究は、神戸市の発生・再生科学総合研究センターが担い、25年度後半に問題化したSTAP(スタップ)細胞論文執筆者の小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダーらが所属している。
 
 文科省幹部は「他の研究成果への評価を一連のSTAPをめぐる問題の対応のまずさが打ち消している。低い評価は仕方がない」と話す。評価は外部委員が毎年度実施し、法人の運営や目標の設定に活用する。」
 
 文科省にこのような評価を下す資格はないでしょう。理研が初動段階であれだけ混乱してしまったのは、文科省が、研究指定法人の法案を通すために、性急な幕引きをしようとして理研に指示をしたことが最大の原因です。
 いきなり下村文科大臣が、「いったん論文撤回してしっかりしたものにして出直すのがいい」と述べたり、「早急に指摘されている疑問点について調査をまとめろ」と指示したり、「コンプライアンスがしっかりしていなければ(=調査結果が出なければ)法人指定は難しい」と言ったりと、文科省ガイドライン自体の存在を知らないのではないかと思えるような、せっつきぶりでした。論文を撤回するかどうかは、本来は著者たちが決めることですし、通常150日をかける不正調査を1カ月足らずでやろうというが土台無理な話です。結果がまとまらなければ法人指定ができないと所管省庁に迫られれば、「論文撤回されているから調査はする必要がない」などと詭弁を弄して、疑義の拡大やその調査で長期化する事態は避けようという無理な話になってしまいます。それが理研の対応に対する社会の不信感を招いた最大の要因でしょう。

 加えて、41日の調査委の調査報告による「捏造」「改竄」認定が、混乱を更に増幅させました。本来は、図の改竄等だけの問題に絞らずに、論文通りのSTAP細胞・現象があるのかどうか、再現されるのかどうかという通常の研究不正調査としておこなわれるべきでした。ところが、誰もが釈然としなかったように、STAP細胞の有無は関知しないと述べたので、この調査は一体何なのだ?という疑問が拡がりました。
 研究不正調査は、論文に即した再現性の有無が最大の焦点になるはずです。そして、指摘された疑問点全体を整理して、それらについてしっかり時間をかけて、本人や関係の著者たちからの弁明を十二分に行わせることが必須でした。この研究不正調査というのは、研究における犯罪調査とみることもできますし、懲戒処分に直結することからその懲戒処分の一環位置づけることができます。したがって、それらの刑事、労働の両面の手続き的保障を行うことが必要です。
その際、再現実験も権利として保障されている旨の「告知」も、被疑者への手続きとして行う必要があったはずです。小保方氏は、記者会見で再現実験を許されればやりたいといっていたわけですし、小保方氏への体調の配慮も、労働法的観点からは当然なされる必要がありました。これらの手続き的保障がすべて無視されたのが、あの調査委の調査でした。あのまま懲戒処分に持っていけば、その内容にもよりますが、理研は敗訴する可能性は多分にあったことでしょう。いや、確実に敗訴していたことでしょう。

そして、調査報告書の内容もひどいものでした。「研究不正」の定義の歪曲と、あり得ない「未必の故意」論による捏造、改竄認定です。パソコン上のデータが未整理だったことを以て「故意」だというのであれば、飲酒運転による死亡事故は、すべて殺人罪になってしまいます。そういうことは誰も指摘せずに、調査委だ第三者委だといえば、無批判的に結論だけ増幅させる日本社会の悪癖、宿痾がここでも表れています。調査委と改革委と、そろいもそろって理不尽過ぎる内容が一人歩きしてしまったことは、理研や関係者にとって大変不幸なことでした。いずれ、この2つの委員会については、手続き、内容及び影響について冷静な検証がなされるべきだと思います。
 
その後、研究法人指定見送りが決定し、社会の理研への批判も高まったのを受けて、文科省理研も正常な判断に戻りました。第一論文、第二論文を含めて疑義の調査をするということになりましたし、小保方氏による再現実験も行われることになりました。この点だけは、改革委の提言は正しかったと言えます。研究不正の有無、真相解明のためにも、再現実験や検証事件は必須のものです。小保方氏は自らのために、理研は真相を求める社会に対する責任と特許出願をしている立場から、それぞれ実験を行うことは正当なものです。「税金の無駄遣い」というような俗耳に入りやすい台詞で、これらの実験を阻止しようとするのは、科学者でも科学的マインドの持ち主でもありません。「権利としての再現実験」を封殺しようとするのであれば、それは権利侵害行為にほかなりません。

もちろん、その再現実験が不調に終われば、小保方氏が窮地に立たされるのは確かです。ただ、それでも、最終的結論は、全ての実験局面における5WHの事実解明と、電子写真の解析、残存試料・標本のチェックや、若山氏の当時の発言の検証、小保方氏、丹羽氏、若山氏、研究室関係者(学生を含む)らからの徹底的ヒアリング、若山氏と遠藤氏らによる解析結果の検証等もふくめた研究不正調査の結果を待ってからということになるでしょう。そうでなければ、改革委提言が言うとおり、不正があったか否か、勘違いの可能性の有無、不正や混乱があったとして主体は誰だったのかなどが判明しません。ですから、責任の所在、程度もはっきりしません。
本日、外部有識者のみから成る不正調査委員会を設置した旨発表されましたが、委員はまだ調整中で、報告書発表までは非公表だそうです。1月末までを目途とする由。
しかし、何を疑義として調査するのかが明確でないままに調査が進むというのは妙な気がします。いずれにしても、今度こそは、バイアスのかからない冷静な調査が行われることを期待したいものです。
 
 
   本ブログで書いていた理研改革委の提言に対する批判がまだ完結していません。論旨が次々と変遷し、よくよく詰めていくと根拠足りえないことを根拠に、CDB解体提言まで導いています。結局それにある程度沿った形での改革措置になってしまいましたが、提言の多くが理不尽なものであったことには変わりありません。
 研究不正の有無、不正の主体等を明らかにするために調査をせよ、再現実験もさせよと言っているそばから、いつのまにか若山氏と遠藤氏に引きずられて「世界三大不正」とまで断じるに至っています。
 読者の方々は、一度、あの改革委提言を1ページ1ぺージめくりながら、それぞれのページの記述が、研究不正があることを前提とした文章か否か、研究不正と言う場合どれのことを指しているのかを、チェックしてみることをお勧めします。いずれ、時間があったら書いてみたいと思いますが、論旨が次々と変遷し、結局最後は、「前代未聞の研究不正」があったとまで根拠なく断じるに至り、それを前提として、CDB解体を求めているのですから、支離滅裂です。会見での「遠藤氏は立派な方だから信用できる」など、科学者のセリフではないでしょう。