理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【補足】若山教授の「STAP全否定」の不自然さはどこからくるのか??

【補足】

 若山教授が、ES細胞すり替え説に誘導したい雰囲気を感じるのは、前回記事に述べたとおりですが、STAP細胞自体(幹細胞ではない)も、否定してしまいたいという様子であるのは、かえって不自然な気がします。
 理由は、既に書いた点と重複もあるかもしれませんが、

① 若山氏自らSTAP細胞を注入したあのクリアな画像に写っている細胞が、ES細胞であれば、すぐ分かるはずであること。
 次のサイトで紹介されているように、虚心坦懐にみて、この画像でガラス管に吸い込まれて、胚盤胞に注入されている細胞が、ES細胞であると現時点では捉えているということでしょうか? それもまた無理があるのではという気がしますが、どうなのでしょう・・・・??

② 小保方氏から受け取ったSTAP細胞の遺伝子の目印をチェックしなかったのは不自然であること。
 わざわざ、18番染色体に遺伝子を注入した細胞のマウスを渡して、それを目印にしたのであれば、小保方氏からSTAP細胞を受け取った際に、まずその目印があるかどうかをチェックするのが初動対応ではないのか?という気がするのですが、どうなのでしょうか?
 分子生物学の世界では、細胞、遺伝子等の汚染が日常茶飯事だということも聞いたことがありますし、理研自体、マウスの提供間違いが大量にあったというくらいですので、こういった目印のチェックは、節目節目で厳格になされるのではないのかな?と素人としては思うのですが、どうなのでしょうか?
 こういう節目ごとの管理状況を横において、「今保存してあるのをチェックしたら別物だった」といってすべてを否定するのは、飛躍があると思います。

③ さんざん言い古された「200回成功」発言批判を、またあえて繰り返していること。
 会見録では、
 
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 ―小保方氏は会見で「200回以上作製に成功した」と。受け止めは。
 「STAP細胞を作るのに、生後間もない赤ちゃんのマウスを使う。200回やるなら千匹ぐらい必要と思うが、自分の研究室の規模ではそこまで提供できなかった」
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 小保方氏は、200回というのは、具体的にどういう内訳かを補足文書を配布して説明しています。様々な部位の細胞を使い、様々なストレスを与える実験を行っていたとあります。

 それであれば、200回というのはあり得るのではないかと思いますし、この説明文書配布後は、外部の指摘も収まったように思うのですが、今改めて、200回=1000匹必要 という単純な構図で、STAP細胞の作製自体が架空ものが多かったかのような印象付けをするような発言というは、やはり不自然に感じます。

④ 若山氏自身、2月末のCell誌(注:ノフラー教授の間違い)のインタビューに答え、自らSTAP細胞の作製に成功したこと、ES細胞コンタミは考えにくいこと等を述べていること。
 次のサイトに、インタビュー記事の和訳がありました。

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3.STAP細胞に対して自信は持っていますか
Y:私自身理研を去る前マウスの脾臓からSTAP細胞を作る事には成功しています。一度だけですが。その際は小保方氏によく教えて貰いました
ここにきて、友人の何人かが実験の部分的な成功(Oct発現陽性の細胞の構築に成功)のメールをくれました。ですので私は一年以内に誰かがSTAP細胞の構築が成功したとの報告をしてくれると信じています。
 
4.以前成功したSTAP細胞はmESCsあるいはマウスのiPSコンタミという可能性はありますか
Y:私はSTAP細胞からSTAP幹細胞の作成にも成功していますし考えにくいです。それに129B6GFPマウスからのSTAP幹細胞作成も出来ています。当時ES細胞は持っていませんでした。STAP幹細胞作成時Oct-4強陽性でした。その条件下ではES細胞より簡易に作成できました。さらにmRNA発現の仕方からSTAP幹細胞がES細胞のコンタミでは無いでしょう。

5.あなたのラボでも再現性が低いそうですね
Y:ありうる事です。私自身ラボを移った際今まで出来ていたクローンマウスの作成に半年かかりました。自分の持つ技術でさえそうですから人の技術であれば再現が難しいのは納得できるものです。以前成功した時は小保方氏の指導の下、全て自分で行いました。同じようにPh.Dの生徒もSTAP幹細胞作成に成功していました。実験をはじめた当初はES細胞やiPS細胞は扱っていませんでした。後になってコントロールとしてES細胞を培養していました。
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 こういうSTAP作製を自ら成功させ、友人の数人も部分的に成功していることを自ら語っていながら、それを今になっていきなり全否定してしまうことは、無理がないでしょうか?

⑤ STAP細胞の全否定と、小保方氏孤立化の思惑が滲み出ていること。
  これは会見で、次のように述べている箇所です。
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 ―3月の会見ではSTAP細胞の存在を「信じたい」と話した。今はどうか。
  「あれば夢の細胞だ。あってほしいが、すべての解析結果が否定する方向になっ  ている」
 ―ないのか
  「ないとは証明できない」
 ―STAP細胞の研究を続けるか。
  「いいえ。山梨大に移ってから何十回実験を繰り返して(細胞が)できていない。  できる』と言うのは小保方氏1人だ。小保方氏ができると証明し、誰もができるプ  ロトコル(手法)を公開しないと、できる気がしない。それまでは実験をしたいと思  わない」
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 「すべての解析結果がSTAP細胞否定する方向になっている」
 というのは、いくらなんでも飛躍が過ぎる話で、
 理研の人には『(STAP細胞を作ったのが)若山研究室のマウスからではないことが分かっただけで、価値がない』などと言われた」
 とあるように、他方で、笹井氏や丹羽氏のように、「STAP現象でなければ説明がつかないために、最有力仮説だ」「あると思わなければ検証実験になど参加しない」という考えを支持する材料があるわけですから、それに対する何らの言及もせずに、今回の解析結果だけで、STAP幹細胞だけならともかく、STAP細胞まで一気に全否定してしまうのは、どう考えても変です。
 表現の仕方こそ違いますが、STAP細胞の存在可能性を支持しているのは、小保方氏一人ではないということですし、若山氏も自ら作製に成功したことをインタビューで語っているわけですから、そこを、「できる』と言うのは小保方氏1人だ」と小保方氏を孤立化させ追い込もうという言い方は、極めて違和感がありますし、科学者らしからぬものです。

⑥ 論文撤回を言い始めたのが唐突だったこと。
 この点は、前々から感じていましたし、そういう指摘もマスコミでありました。
 妙だと思ったのは、3月9日に、若山氏を含む全著者連名で、後に問題となった画像等の修正をした訂正論文をネイチャー誌に送っていますが、そこでは同意していながら、その直後くらいのタイミングで、論文撤回の呼びかけを始めたことです。
 訂正論文を送る際には、当然のことながら、どの箇所をどういう理由で訂正したのかの説明はなされているはずです。調査委が、「捏造」「改竄」と後に指摘した箇所も
訂正していますから、その訂正理由にも納得したのでしょう。
 丹羽氏も、記者会見で問われて、「訂正は適切であると納得した」と述べています。
その際には、学位論文掲載画像だったことは言わなかったでしょうが、実験条件の間違いは説明したでしょうし、画像の切り貼りの訂正のことも説明したことでしょう。
訂正に同意したのは、3月9日以前で、学位論文掲載の画像であることが外部から指摘され問題化したのが、3月10日ですから、「学位論文画像を使ったことが分かってショックを受けた」ので、撤回を呼びかけたというのは、不自然ではないかもしれません。その説明は、今回の会見でも維持しています。

 「最初は素晴らしい成果と信じていたので、小保方氏をほめるコメントをした。疑義が見つかった後もできる限りかばおうとしたが、(ネイチャー論文に)博士論文のデータを使ったと分かった。研究者にとって一番大事な写真を取り違えることはあり得ず、疑いが出てきてしまった。論文の撤回はつらいことだが、そうしないと研究者として生きていけない」

 しかし、撤回呼びかけは、それが実質的な理由ではなく、3月10日時点で、第三者機関に分析を依頼しなくてはならないと思うほどの「データに疑義が出た」ことが直接の契機だったことが強く推測されます。

NHKの報道によると、若山教授は10日、「研究データに重大な問題が見つかり、STAP細胞が存在するのか確信がなくなった」とし、論文の取り下げに同意するようほかの著者に呼びかけたことを明らかにしたという。」

 学位論文画像を使っていたことが判明したのは、第三者機関への分析依頼、撤回呼びかけの時期とタイミングこそ合っていますが、動機としては考えにくいところです。NHK報道にあるとおり、自らの手元にある試料の「データに疑義が出た」のであれば、当然焦るでしょうから、学位論文画像使用の露見を対外的理由として、論文撤回呼びかけ→第三者機関に分析依頼 という形を取ったというのが、実質的な事情でしょう。

 ここで、「データに疑義が出た」ということは、今回の第三者機関の分析を踏まえれば、遺伝子配置の違い、ES細胞の特徴を示す材料等のことだったでしょうから、「自分が何をやっていたのかわからなくなってきた」という感想は、正直な吐露だったことと思います。しかし同時に、相当の危機感を抱いたであろうことは、想像に難くありません。

 自らSTAP細胞の作製に一度とはいえ成功し、周囲の友人も成功していることを認識し、笹井、丹羽両氏の挙げるSTAP細胞の支持材料もあり、更には、小保方氏から受け取った細胞を自らガラス管で吸入、注入している・・・といった一連の過程で、STAP細胞の存在を疑わせるものはなかったはずです。だからこそ、それまで擁護発言を続けていたのでしょう。

 ところが、ふと自分の研究室の手元で保管されているデータをみたら、思いもかけないデータが出てきた・・・・となれば、普通に考えれば、「自分の研究室の実験担当の部分で何かが起こった」と考えるはずです。
 自らが若山氏の立場に置かれたことを想像すると、その焦燥と危機感、あるいは恐怖感というのは相当なものだったであろうことは、理解できます。
 その、ネイチャー論文と齟齬を来たす「データの疑義」が、自分及び自分の研究室に起因する何かによって生じたとなれば、自らが捏造疑惑にさらされかねません。
それはなんとしても避けたいでしょう。となれば、その「データの疑義」が起因するところは、小保方氏である、としなければならない・・・。
 山梨大HPでの発表文にある次の一文は、その危機感の裏返しでしょう(この発表文では、「データの疑義が見つかった」ことには何ら触れていませんから、なおのこと、この一文は唐突で違和感のあるものになっています)。

 「私が担当した部分(共著者より提供された細胞からのキメラマウスの作製、及び幹細胞の樹立)については、自信を持って適正に実験がなされたと言い切れます・・」

 自らが適正であるという以上は、「データの疑義」を説明するためには、「小保方氏から受け取った段階で、それが実はSTAP細胞ではなかった」というストーリーが必要となります。だから、

 ①受け取った細胞は、小保方氏に渡したマウス由来のものではない。
 ②論文と異なるデータを示したES細胞の特徴を示す「STAP幹細胞」は、もともと小  保方氏から渡された細胞を培養したものである。
 ③だから、小保方氏から渡された細胞は、実は彼女がこっそり作ったES細胞だ。

 ということで、今回の発表はそれに即したものとなりました。小保方氏批判で名前が轟いたkaho氏こと遠藤高帆主任研究員の強力なバックアップもありますし、マスコミもそれに完全に乗った報道になっています。
  もちろん、その仮説は正しいのかもしれません。しかし、それと同等又はそれ以上に、「若山研究室側で何かが起こった」という仮説も否定はできません。
否定もなにも、若山氏が山梨大HPで述べた

 「私が担当した部分(共著者より提供された細胞からのキメラマウスの作製、及び幹細胞の樹立)については、自信を持って適正に実験がなされたと言い切れます・・」

 という点について、実験経過とその裏づけ、監視・保管状況、小保方氏とのマウスと細胞のやり取りの経過と裏づけ等についての5W1Hの何一つとして、材料は示されていませんから、それらの全面的情報開示がなされなければなりません。そして、STAP細胞自体の存在を全否定するというのであれば、

 ・若山氏自身及びその友人たち複数が、STAP細胞製作に成功していると自ら語っ  ていること、
 ・小保方氏から受け取った、ES細胞に比してはるかに小さい細胞を、若山氏自ら   がガラス管で吸引、注入していること、
 ・ES細胞由来ではない証拠となる胎盤発光は、丹羽氏自身も自分の目で確かめて  いること、

 等々の事実関係に関し、若山氏はどのような見解を持っているのかについて説明責任があるのではないでしょうか?

 こういう疑問は容易に誰でも思いつくと思いますが、それでもなお、STAP細胞自体の全否定のニュアンスを強く出す会見内容には、多大な違和感が残りました。

 STAP細胞騒動は、もしかすると、まだまだ序章なのかもしれません・・・・。


※ 胎盤形成・発光のところは、ES細胞説にとってもよほどの説明上の難点のようで、それはTS細胞が混じったものだったのだ、という混合説が現れ、最近では、「実は丹羽氏が、胎盤形成までできるES細胞をひそかに持っていたのだ」といった珍説まで現れているくらいですから、混沌としています。