理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

1 若山教授記者会見を見ての疑問(1)-丹羽、笹井両氏の見解との科学的整合性は? ES・TS細胞混合説は全否定

 
若山氏の記者会見での発表内容は難しすぎて、とても素人では理解できませんが、それに関連したマスコミ報道や関係ブログ等からわかった点は、
 
①小保方氏から渡されたSTAP細胞から作製したSTAP幹細胞の遺伝子データが   、若山氏側から渡したマウスのそれとは異なる。したがって、小保方氏から渡さ   れたSTAP細胞は、若山研究室側から渡したマウス由来のものではない(=若  山氏発表)。

②遺伝子の特色がES細胞のそれと一致している(GFPの遺伝子は8株の全てで1   5番目の染色体に組み込まれている=ES細胞と同じ)(=若山氏発表)。

③小保方研究室に保管されているES細胞の特徴と、若山氏側が作製したSTAP    幹細胞の特徴の一部が一致した(理研情報)。そのES細胞は、若山研究室側   から譲与されたもの(=小保方氏代理人による)。
  ※若山氏自身も、Cell誌のインタビューに答えて、自身で小保方氏の指導の下     に、作製に成功し、他の複数の者も一部成功した旨を述べている。

④「STAP論文」で登録された遺伝子データベースの解析結果では、「STAP細胞」   はES細胞とTS細胞とが混合したものであり、胎盤に分化する万能性を持つTS   細胞の方が、「STAP細胞」の胎盤分化に寄与したのだろうと分析された(=遠   藤高帆主任研究員による。遠藤氏は、意図的な混合の可能性を指摘)。
 
 これらの一連の情報を以て、「小保方氏が、若山氏側から渡されたマウスとは別のマウスを使って、ES細胞とTS細胞の混合物をSTAP細胞と偽って渡し、STAP幹細胞を作ってもらった」という「捏造」「すり替え」を行ったかのような構図を描く報道や指摘が多いようです。
 しかし、①~④それぞれに、よくわからない点があります。
 
● まず、若山氏の記者会見での説明ですが、「小保方氏から受け取ったSTAP細胞は、若山氏側から渡したマウス由来のものではない」という話は、前々から言われていた話だったかと思います。それに対して、小保方氏は、「STAP幹細胞の実験以降の部分は、若山氏の担当なので、何が起こったのかわからない」とし、また今回、「マウスも細胞も、若山氏側から渡されたものだ」と反論しています。
 ですから、若山氏が記者会見をするのであれば、第三者機関に委託した遺伝子検査の結果を援用して、若山研由来のマウスからのものではないという主張をするだけではなく、若山研と小保方氏との間の、一連のマウスと細胞のやり取りを含めた実験の経過を、順序だてて明らかにするものと思っていました。「若山研究室」とか「若山氏側」と引っ括って言いますが、具体的に携わったのが誰なのかが全く明らかにさせていませんから、それら特定するとともに(別にその氏名を公表せよということでなく、A研究員、B研究員~でもちろん構いません)、第二段階のSTAP幹細胞以降の実験を行ったのは若山研メンバーであるわけですから、その実験ノートも含めて公表して、一連の流れを明らかにすることが、若山氏に求められていることではないのでしょうか?
 ですから、理研側の反応として、次のような会見で紹介されたやり取りになるのは当然の話でしょう。
 

「 ―今回の結果について、共著者らの反応は。
 「理研の人には『(STAP細胞を作ったのが)若山研究室のマウスからではないことが分かっただけで、価値がない』などと言われた」」

 http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/06/16/kiji/K20140616008379760.html 

 
STAP細胞の第一段階の作製については、これまでの事実関係からみて、成功している可能性はあり得るわけです。それは、小保方氏が「200回成功している」と言っているからということではなく、
 
外部的ストレスによって細胞が初期化し、万能性細胞・幹細胞になる現象は、東北大の出澤教授のMuse細胞の事例が報告され、特許出願もされていること。
小保方氏が、理研内部での別途の2人がSTAP細胞の作製に成功していると記者会見で発言し、理研がこれを受けて、第一段階での2人の研究者による作製については認めていること(しかし、なぜかべた記事扱いで、マスコミも研究者もこれ追うことはありませんでした。理研もこれで証明にはならないと慎重です)。
丹羽氏が、検証実験開始の記者会見で、小保方氏の作製手順(プロトコル・エクスチェンジ)を論文に記載するために、リンパ球採取から作製までの過程を逐一、3回程度見たと述べていること。
 笹井氏が、電子顕微鏡で一連の作製の流れを記録していること。
 
といった事実関係から推測できることです。だからこそ、理研も検証実験を真剣にやっているのでしょう。

 
●また、ES細胞、TS細胞の混合可能性についての指摘については、笹井氏、丹羽氏の主張、発言との整合がつくのか、よくわかりません。二人は、ほとんど全否定してます。
 
① 笹井氏の記者会見での説明資料での否定
 
 笹井氏は、次のように資料に記載し、ES細胞や他の幹細胞の可能性は疑問視し、STAP現象が最有力の仮説としているわけです。この主張と、若山氏側が解析した、ES細胞の特色と一致する遺伝子配置ということとは、どう両立させ得るのでしょうか?
B 特徴ある細胞の性質
・リンパ球やES細胞よりSTAP細胞はさらに小型サイズの特殊な細胞
・遺伝子発現パターンの詳細解析でも、STAP細胞は、ES細胞や他の幹細
 胞とも一致せず
・ES細胞は、増殖能は高く、分散培養可能; 一方、STAP細胞は増殖能が
 低く、分散培養不可
イメージ 1
C 胚盤胞の細胞注入実験(キメラマウス実験)の結果
・ES細胞、TS細胞の混ざり物では細胞接着が上手く行かず1つの細胞塊に
 ならない
・ES細胞と異なり、分散した細胞ではキメラを作らない
 
「一個人の人為的な操作」が困難である確度の高いデータのみを見ても
Oct4GFPを発現しない脾臓の血球系細胞からOct4GFPを発現する「他の細胞では知られていない」形質を持った小型細胞の塊が生じること
胚盤胞への注入された細胞の貢献は、ES細胞やTS細胞では説明できない特別な多能性の表現型を示し、また内部細胞塊や桑実胚の細胞とも考えにくい」
                                  
② 丹羽氏の記者会見での否定
 丹羽氏は、記者会見で、問われて次のように答えています。ES細胞コンタミ(混入)説をほとんど一蹴している印象です。
 「 --STAP細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)の混入を見間違えたのではないかとの指摘がある
 丹羽氏 「私が知る範囲の知見では、その仮説が真である確率は低い。専門家の判断からすると、それほど単純ではない」
 
 この回答部分は、更に問われて詳しく述べていますので、実際の会見映像で詳しく見ることが望ましいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=83LKlS8h8vI27:0033:30辺りの部分)
 丹羽氏の記者会見録は、是非活字で逐語的に起こされることが望ましいと思います。問うている女性記者は、おそらく大隅分子生物学会理事長のブログ等での情報やネットでの研究者の情報を基にしているのではないかと想像されますが、それらの指摘を斥けています。
 
「若山氏は、今でこそ信じる信じないと言っているが、小保方氏から渡された細胞集団は極めて均一な細胞集団で、これをマイクロナイフで刻んで注入したと聞いている。
 自分で実際、ES細胞とTS細胞を混ぜると人工的な胚ができるのではないかと思って実験したことがあるが、残念ながら、わずか数日の間に見事に分離する。接着しながら分離するので、これらの両者で均一な細胞集団を作ることはできない。おそらく発現しているカドヒリンが異なるだろう。増殖因子の要求性が異なるので、それぞれの細胞の分化胞を維持しながら接着することはできないと思う。
 ライブイメージングで、マクロファージが動き回るのを誤認したのではないかとの指摘は聞くが、ではそれとどうやって区別して観察すればいいのだろうか?自分には思いつかない。」
 
内部告発的な主張をしている遠藤高帆主任研究員の説とは全く相容れませんが、科学的にはどういう説明になるのでしょうか?
また、若山氏は、胎盤が光っていることについて、次のように述べたとあります。
 
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―(STAP細胞は胎盤にも分化する能力があるため)胎盤が光ったというが。
 「STAP細胞由来の胎盤のほか、比較のため胚性幹細胞(ES細胞)由来の胎盤を作った。STAP細胞由来の胎盤だけでなく、ES細胞由来の胎盤も光っていた。赤ちゃんの血が胎盤の血管に入るためだ。STAP細胞由来の胎盤では血管以外でも光っている(のでES細胞とは違う)という報告を小保方氏から受けた」

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 若山氏は、
「STAP細胞由来の胎盤だけでなく、ES細胞由来の胎盤も光っていた。赤ちゃんの血が胎盤の血管に入るためだ。STAP細胞由来の胎盤では血管以外でも光っている(のでES細胞とは違う)という報告を小保方氏から受けた」
 と述べて、小保方氏が、虚偽の報告をしているかのような印象を与える発言をしていますが、最も重要な根幹的な実験結果について、自らの目で確かめなかったということが果たしてあり得るのでしょうか? ましてや、ES細胞由来の胎盤を渡して、それと比較して、血管以外のところが光るかどうかよく確認するように、と念を押しているくらいです。それほどまでに微妙な部分なのに、自らは写真は見ていない、胎盤の専門家ではないから、と答えていますが、常識的には考えにくくないでしょうか? 以下は、朝日新聞デジタルによる会見録です。
 
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 ――(STAP細胞の万能性を示すとされた)マウスの胎盤が光った写真について、改ざんだったと指摘されている。胎盤は間違いなく光っていたのか?
 実験では胎盤もよく光ってました。ただ、よく確認しないといけない、と小保方さんに話しました。それで、ES細胞の胎盤をつくって小保方さんに渡してます。
 ――ES細胞の胎盤は光ってなかった?
 いえ、結構光ります。胎盤の中の赤ちゃんの血の量が多ければ光ります。それで、「血管以外のところが光ることを見ないと胎盤が光ったと言えません」と伝えました。小保方さんからは「胎盤の血管以外のところでも光って入ってます」と報告を受けました。
 ――その写真はみた?
 見てません。
 ――本当に胎盤が光っていたと思うか。
 それに関してはいろんなことが考えられますが、胎盤の専門家ではないので判定できることではありません。  」               
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 この胎盤の部分は、丹羽リーダーも記者会見で質問に答えていますが、最も関心のある部分だとして、自分の目で慎重に確認したと答えています(11:25
 
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胎盤に分化していることを確認しているのか? 血管が光っているのではなく、細胞が光っていることを。
 自分自身もその点は、実験に参画した上で最も強いモチベーションだったので、・・・GFPの自家蛍光の問題は、免疫染色等で確認すべきだとのご意見があったが、まさにそのような手段を用いて、かつ 胎盤実質細胞で発現するマーカーともキョーセンショクを以って、確かにSTAP細胞由来と思われるGFP陽性細胞が胎盤組織にインテグレートしていることを、切片を顕微鏡で自分の目で確認している。
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 以上の通り、丹羽氏の自分の経験に基づく見解、笹井氏の見解と、若山氏や遠藤主任研究員の見解とは、ほとんど相容れるところがないように思えます。
 他方で、ES細胞に特有の遺伝子が、若山氏の手元にあるSTAP幹細胞から見出されたという点は、丹羽、笹井両氏の見解とは整合しないように思われます。
                            続く