理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

STAP細胞研究は「国際共同研究」として自己点検委報告に明記されている ー共同研究協定書「不存在」回答はおそらく別の理由

 
 楠本英正さんが、「がんばれ~~」のサイトにアップされている情報開示請求結果の文書をみると、理研とハーバードとの間の、STAP細胞に関する共同研究契約、協定などはなかったとの「不存在」との回答になっています。
 その理由がどういうものか、いくつかの可能性は考えられますが、STAP細胞研究は、ハーバードからの申し出に基づく理研との「国際共同研究」として理研で位置付けられていたことは間違いありません。
 
理研内部の「自己点検検証委員会」の検証結果の報告書が20146月に出ていますが、


 この報告書については、改革委報告書のベースとなったものであり、その検証結果には多々問題があると思いますが(その点については以前に集中的に書きましたが)、ハーバードと理研の共同研究の実施や小保方氏の関わり方(身分)の複雑な変遷について、時系列で詳細に整理していますので、頭の整理の上で助かります。
 時として、小保方氏と若山氏が、その時々でどういう身分での関わり方なのかが混乱するときがありますが(石井調査委報告後の懲戒委のメンバーは、混乱する以前にその経緯を知らずにいたわけです)、この自己点検委報告書の付属資料は、基本資料としていつでも参照できるようにしておくと便利です。
 
この報告書を、「共同研究」の用語で検索すると、16件ヒットします。そのうち経緯については、p20 に以下のように書かれています。

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(2)CDB 若山研究室 客員研究員として在籍
2010 5 C.バカンティ研究室の小島氏から若山氏(ゲノム・リプログラミング研究チーム)へ共同研究の打診
2011 4 月 若山研究室の客員(客員研究員)として本格的な共同研究開始
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「客員研究員」というのは、以前書いた下記記事の「解説」部分をご参照いただければと思いますが、


 理研の「客員規程」には、次のように書いてあります。
 
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2
(2)客員研究員  研究所と大学、研究機関、民間企業等(以下、「研究機関等」という。)
との研究協力協定、共同研究契約等に基づき、当該研究課題等を遂行する者
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 ですから、共同研究遂行の上での客員研究員として受け入れている以上、「研究協力協定、共同研究契約等」があると考えられるわけです。
 
今回、「不存在」理由による不開示決定がどういう理由によるものなのか、頭をひねるところがあります。国際共同研究やるのに、研究費・人件費、知財の分担・配分や研究期間等について何も決めずに行うとは常識的に考えにくいですし、「客員規程」にも、受け入れの前提として、「研究協力協定、共同研究契約等に基づき」と規定されているわけです。
 
情報公開の事務は、機械的なもので、忖度はされませんから、それにドンピシャはまらなければ、不存在になる可能性は十分考えられます。「帰属リスト」が「不存在」で回答された件と同様の話です。
今回、考えられるとすると、次のようなことがあるのかもしれません。③の可能性が高いような気がします。
 
① 文書保存期間が経過している。
② 共同研究スタート当時は、「STAP細胞」という言葉はなかったので、それに関する共同研究契約・協定等はない。
③ 共同研究の名目が、「キメラマウス作製のための技術的支援」といった類いのものだった。
④ 理研とハーバード間の契約ではなく、バカンティ研と若山研との契約だっった。
 
『あの日』P62以降に書かれている経緯をみると、当初は早稲田・女子医大からハーバードへの留学生としての身分で、たしかに「技術的支援」との名目での共同研究だったと思いますが、同じく『あの日』p81以降の、卒業してポスドクとなった後、バカンティ教授から、「ハーバードの身分は変えないでほしい」との要請を容れたのちの若山研での共同研究は、もう少し踏み込んだ研究内容だったと思います。同じp81に、若山氏が「せめて少しでも長く僕のところで実験できるような、言い訳を考えましょう」と言ったとあり、その後、若山研にすぐUターンして改めてバカンティ研からの客員研究員として戻ってきて、研究を継続したという流れです。
若山氏が考えた「言い訳」も反映した共同研究の協定書なり覚書の類いが作製されたとみるのが常識的だと思います。さもないと、何も契約上の根拠がない人間が身分証を発給されたり、理研構内・研究室を自由に出入りするようなことはできないでしょう。
 
そういうことで、情報公開請求するとすれば、次のような特定の仕方がいいのかもしれません。
 
「平成 266 10 日付けで、CDB 自己点検検証委員会がまとめた「CDB 自己点検の検証について」のp20の「(2)CDB 若山研究室 客員研究員として在籍」の項から以降に記載されている「共同研究」に関する共同研究主体間の契約又はそれに類する合意事項を記した文書」


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<参考>
 ややこしいので混乱するかもしれませんが、STAP細胞の論文投稿・発表がされたのは、小保方氏が理研に採用された後なのですが、論文内容や特許出願内容の研究がなされたのは、あくまで小保方氏が留学生なりポスドクなりで、バカンティ研に所属して理研に来ていた客員研究員としての身分の時のものです。
 特許出願も、理研採用の1年前に仮出願済みですし、採用後に出願された国際出願も、仮出願のデータに、理研採用前の客員研究員時代の研究データ(STAP細胞胎盤寄与+STAP幹細胞)を追加したものです。
 
【身分の経過】
2008-2011年  ハーバード大学(早稲田・女子医大からの留学生)(C.バカンティ研究室)
2011-2012年  ハーバード大学(博士研究員)(C.バカンティ研究室)
201331日 理研CDB採用
 
【研究の経過】
2010 5   C.バカンティ研究室の小島氏から若山氏へ共同研究の打診。
  同年 8 東京女子医大から細胞持参で若山研究室に数回訪問。キメラ作製は失敗
2011 4 月  若山研究室の客員(客員研究員)として本格的な共同研究開始
2011 11 月  STAP 細胞塊を胚盤胞に注入する方法でキメラ作製に初成功。
2012 4 24 日 米国特許仮出願
20133 1 日 小保方氏が RUL に就任。小保方研究室発足
20133 10 日  ネイチャー誌に論文2 編を投稿
2013 4 24 日、米国特許庁に国際出願(米国特許仮出願に幹細胞データ等追加)
201312 20 日 論文 2 編受理(2 回の改訂後)
20141 28 日 報道発表