理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

早稲田大の小保方氏学位取消に大きく影響した文科省審議会の報告内容

 
STAP細胞問題に関する文科省の関わりについては、いろいろ書いてきましたが、整理の意味で、以下の記事を書いたことがあります。

STAP細胞事件における文科省とその出向理事の関与と思惑について

 これは、特定研究開発法人法案の提出~成立~指定が、文科省の最大の関心であり、STAP細胞問題への関与も、それに貢献するか、足を引っ張るかで、扱いが変わってきたというのが、趣旨です。
 これは今でもそのように考えています。

■他方、早稲田の学位取消の件は、また別途の日本の学位の信頼性の観点です。
 前者は、科学技術行政の所管の観点からの関与であり、後者は、大学行政の所管からの観点からの関与ですので、同じ文科省でも部局も違ってきます。
 学位取消については、最初は、文科省が露骨に関与したこともあったのかも?とも思って書きましたが、大学院部会での審議・報告の存在を知った今の時点では、その審議・報告を早稲田側に知らしめるだけで目的は達せられますので、個別に露骨に関与するまでもなかたのでは?と思っています。

◎小保方氏の学位剥奪は文科省の意向反映?!文科省のスキャンダル的色彩が・・・

文科省は、小保方氏の学位取消にどう関与したのか?

文科省大学院部会の研究不正の議論からの連想3点

 『日記』の「2015年11月3日にある以下の「書類」は、上記の大学院部会の報告書
だったのだろうと想像しています。次の記述は連載時ものですが、単行本では明確に文科省と書かれてます(p150)。

「間違って私の元に送られてきて、たまたま入手した書類から、今回の学位剥奪の決定は早稲田大学よりさらに上の外部機関の意向も強く反映されていることが窺えた。」

 大学院部会の報告書は、平成27年(2015年)8月31日にとりまとめられていますから、タイミング的にも合っています。

 ◎「大学院教育改革の推進について」

 そこには、このように書かれています(p12~13)。
 小保方氏がこれを見れば、自分のことを契機に文科省が審議会で検討を行ったものであり、早稲田の学位取消は、文科省の意向を反映したものだと受け止めるのは自然だろうと思われます。
 これを読むと、早稲田大が、小林調査委員会報告書を覆し、「不正の方法」を拡大解釈してでも、何としても取り消さなければ!という強迫観念に駆られてしまったであろうことは想像に難くありません。

(学生の質の保証のための厳格な成績評価と修了認定)
大学院教育を国際的にも社会的にも信頼され魅力あるものとするためには、体系的な教育課程を組織的に展開し、学修成果及び学位論文等に係る評価を厳格に行うことを通じて、学生の質をしっかりと保証していくことが重要である。このため、大学院においては、それぞれの専攻等が定める学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)及び教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って、学修
の成果及び学位論文に係る評価と課程の修了を厳格に認定することが求められる。

(研究倫理教育の実施と博士論文の指導・審査体制の改善)
○ プロフェッショナルな職には、高度な専門的能力の修得のみならず、高い倫理的意識の修得が求められるものである。最近、研究活動における不正行為の事案や博士号を取り消す事案が生じているが、このような事案は、人々の科学への信頼を揺るがし、科学の発展を妨げるものであるとともに、我が国の博士号に対する国内外からの信頼を失墜しかねない。
 このため、学生の研究倫理に関する規範意識の徹底や、我が国の大学が授与する博士号への国際的な信頼性を確保するため、研究倫理教育の実施と研究指導・論文審査体制の改善に取り組むことが急務となっている。
○ 各大学においては、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」を踏まえ、専攻分野の特性に応じて、学生が研究者倫理に関する知識や技術を身に付けられるよう、研究倫理教育に関する標準的なプログラムや教材を参考としつつ、学士課程から博士課程まで体系立った研究倫理教育を実施する必要がある。また、指導教員に対しても、一定期間ごとに研究倫理教育に関するプログラムを履修させる取組が求められる。
 また、研究指導・論文審査に関しては、例えば、
・論文審査時に複数教員による審査を行うだけでなく、研究指導の段階から所属研究室以外の複数の
 指導教員による指導体制を構築すること
・各指導教員の責任の範囲をあらかじめ明確にしておくこと
・十分な余裕を持って適切な研究指導ができるよう、各指導教員が担当する学生の数を適切な人数と 
 すること
・論文審査過程において盗用検索ソフト等を活用すること
・論文審査の日程は、時間的に十分な余裕を持った日程とすること

■ さて、メルさんがおっしゃっていた情報公開の件ですが、私の問題関心に即して整理すると、次のような請求内容になるかと思います。学位の件は、小保方氏の個別案件の話になってくるものですから、個人の情報については不開示になる可能性が高いので、微妙なところです。また、早稲田大学は国立大学ではないため、独法の情報公開法の対象とならず、一民間組織という点でも制約があるかと思います。
 そういう制約も踏まえての試案です。

【早稲田大の学位取消関係】
①「2014年4月以降2015年11月までの間、大学院での学位の信頼性維持、研究不正への対処等に関連して、国内の大学法人に対して発出した指導、照会、その他の文書(メールを含む)」
②「2014年7月に発表された『早稲田大学・大学院先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会』の報告書を踏まえて、早稲田大学を含む国内の大学法人に対して発出した指導、照会、その他の文書
③2015年9~10月の間に、大学院の学位の取消に関して、国内の大学との間で発出及び受領した文書」

(説明)
 ①は、小保方氏の問題を契機に、2014年夏から、審議会の大学院部会で「学位の質の維持」も論点のひとつとして審議が始まりましたが、それと並行して、各大学に対して、学位の質の維持や研究不正への対処についての指導を行っているのではないかと想像されます。
 また②は、早稲田の調査委員会報告書の結論は、文科省にとって「学位の質の維持」の観点からある意味「衝撃」だったかも知れず、学内不正規程の点検・是正指導を行っていた可能性があるのでは?とも想像されます。
 それらの指導文書があるのであれば、早稲田大が学位取消に向けて強引に舵を切らざるをえなくなった背景がわかるのではないかと思います。
 ③は、小保方氏の単行本の『日記』の2015年10月30日の箇所(p146)で、早稲田大と文科省とのやりとりのメールが誤って送られてきたとありますので、それが入手できないかとの趣旨によるものです。ただ、11月3日の日記内容を読むと、「メールのやりとりを読んだ三木弁護士や・・・先輩たちによると、今回の大学の決定には文科省の意向も反映されたのではないかという。」とありますので、そのメールに、文科省が直接取消を指示するようなものではなかったようにも感じます。


※ 理研でのSTAP細胞問題について、文科省の関与については、冒頭に記載した記事のようなものだっただろうとことは、下村大臣の発言その他の報道から外形的にほぼ明らかだと思いますので、あえて情報公開請求して真相を探らなくてはならない局面はあまりないのではないかと思っています。理研との本件に関するやりとり全般になると、文書量も膨大でしょうから、探す役所の方も「働き方改革」の中で?大変でしょうし、請求する側も費用がばかにならないような気がします。