婦人公論「小保方晴子日記(3)」を読みました
1月6日から10日までの日記で、逃避行が続きます。
山奥の雪深いところにある旅館での滞在ですが、この宿に来てから発した言葉は、「はい」だけで、ずっとマスクをしていて、食事もろく喉を通らない、お風呂にも入らない・・・という状況ですから、旅館の人からみれば、死に場所を求めてきたのではないか?と訝しんだのでしょう。
仲居さんが、1月7日の午後に、コーヒーとお菓子を運んできてくれて、仲居さんになった経緯やハローワークで紹介してもらったことなどを話してくれた、とのこと。
小保方さんは、部屋に閉じこもって寝てばかりの自分を心配してくれて話をしてくれたのだろうと書いていますが、別の心配をしていたのではないかと思います。
ともかく、顔を見られたくないという気持ちが支配している様子がみてとれます。大浴場に入って人が入ってきたら体よりも顔を隠したり、おばあさんが浴場から上がれなくなっているのを助けている娘さんを手伝おうと反射的に立ち上がったがそれ以上には動けなかったりという具合です。
自分の所在を知られるのが怖くて、一か所に長居ができないということで、チェックアウトし、次の雪深い宿に投宿するということで、1月10日の日記が終わります。
こういう状態がずっと続くだろうことに、「生きていく意味があるだろうか。」と問いかけています。
■この状況がしばらく続くのでしょうが、石川氏の刑事告発が、1月26日です。
小保方氏はそれをどう知ったのか、その時どう受け止めたのか・・・(受け止められなかったでしょう)。想像を超えます。
その石川氏の告発の導火線になったのが、NHKスペシャルであることは間違いありません。今回のBPOの人権侵害認定は、番組構成についての話ですが、実際にはそれをはるかに超えた、深刻な人権侵害につながっているということが、この日記からはひしひしと伝わってきます。
■学とみ子さんが書かれていましたが、若山研にいた研究員の人たちの中で、沈黙を守りきれない人も出てくるのではないかと私も感じます。
■婦人公論のページをめくると、「人間万事塞翁が馬」という書が目に入りました(p22)。君島十和子さんの夫と二人で経た試練の年月を振り返り、失敗の経験が心の財産を与えてくれた言葉ということだそうです。試練の中身は、小保方さんとはまた異なりますが、君島さんの試練というのも、相当に辛いものだったようです。
こちらは、他人事だというので気楽に言えますが、こういう葛藤ばかりは本人しかわからないことだと思います。
今回のBPO決定を契機に、諸々の事が好転してくれることを期待したいですし、実際、好転していくものと思います。