理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【備忘】和戸川純氏の「小保方晴子が愛するSTAP細胞 」記事からの抜粋―示唆に富む指摘の数々


 和戸川純さんの「夢と現実のエッセイ評論」というブログにある「小保方晴子が愛するSTAP細胞 」と題する記事は、「ryobu-0123のブログ」や他のブログのコメント欄でも紹介されていますが、読めば読むほど、興味深い指摘が少なからずあると感じます。
 
自己紹介として、「私は、国内外の大学や研究所で、基礎生物学関連の研究をやってきました。小保方さんの研究分野と正確には重なりませんが、同じような細胞を扱ってきました。」と冒頭にあります。
 埋もれさせるには惜しいご指摘なので、抜粋して、備忘的にご紹介おきたいと思います。
書かれた時系列的順番ではなく、テーマごとに分けて抜粋しました。
 
1 若山研内での研究実態関係
 
部外者がSTAP細胞の真偽に迫りたければ、小保方ユニットで仕事をしていた研究者を、割り出すことです。 そうやって、小保方さんは独善的に研究を進めていた、という理研幹部の弁明を崩すことができます。かん口令が敷かれている、研究者の口を開かせることができるならば、メディアで指摘された問題のほとんどが、解明されてしまいます。」
 
グループ内、研究室内、研究所内で、日常的に研究に関する討論を行っていたと思われる。理研幹部は、小保方が、他の研究者をつんぼ桟敷に置いていたような言い方をしていたが、そのようなことはあり得ない。
ユニットリーダーの小保方と同じ実験室で仕事をしていたスタッフは、小保方の指導のもとに同じような実験をやっていたはずだ。彼らは、小保方がやっていたことのすべてを身近で観察し、再現性試験と同じことを間違いなくやっていた。お互いのデータを毎日確認し、実験材料が何であるのか、どこに保存しているのかなど、何でも承知していたはずだ。
小保方が「他に実験に成功した人がいます」と言ったが、その人とは、小保方ユニットのスタッフである可能性が最も高い。理研幹部は、小保方の研究に最も精通しているスタッフに、接触しなかったのだろうか?
 
小保方の実験の評価ができる研究者として、特に注目しなければならない研究者が3人いることは、共著者を見れば分かる。理研内の、小保方と同じグループに所属している研究者たちだ。(注:以下、固有名詞を紹介。)」
 
理研のウェブサイトで、小保方ユニットの組織を調べた。予想通り(!)に、彼女のユニットの組織図が抹消されていた。・・・テレビで、小保方の部下が数人いる、と報道されたことがあった。理研幹部は、小保方ユニットのメンバーの名前が、外部に知られることを恐れているようだ。」
 
2 小保方氏にかけられた嫌疑関係
 
「審査員が、写真の切り貼りを見過ごしたということは、考えられない。何回かのやり取りで、小保方の説明に切り貼りを納得した可能性が高い。・・・5月9日の報道によると、Scienceの審査員もNatureの審査員も、切り貼りをはっきりと認めていた。Scienceの審査員は、切り貼りが問題なのではなく、切り貼りのやり方に不都合があるとした。
 
実験ノートは、個々の研究者ではなく所属機関に属する。研究者はノートを公開することができず、所属が変わったときに持ち出すことも許されない。小保方が以前の実験ノートを公開できなかったのは、当然だった。
調査委員会は、小保方の実験ノートは2冊しかなかった、と述べた。その後の小保方の記者会見で、小保方が4~5冊と訂正した。その中には、ハーバード大学で使った実験ノートが含まれる。」
 
「実験には多様な機器が使われるが、ほとんどがコンピューターで制御されている。数字や画像になった結果が、データとしてコンピューターに残される。データを打ち出せばデータシートが手元に残る。それには、日づけが自動的に書き込まれている。
デジタル世代の若い研究者ほど、実験の過程と結果を手で書くのを億劫がる。コンピューターにデータが残っているので、それだけで十分なはずだ、と勝手に自分を正当化してしまう。
小保方は、多分そのようなデジタル世代だ。世間から注目されることのない普通の研究者ならば、大きな批判を受けない。けれども、小保方のように一挙手一投足が注目されるようになると、小さな不都合がもとになって窮地に追い詰められてしまう。小保方は、このことを間違いなく学んだ。」
 
「研究者としての評価には、論文の質だけではなく数も加わる。研究者は、なるべく多くの研究論文を書く必要に迫られる。論文に書き慣れると、実験の進め方にソツがなくなる。最小限の労力と時間で、論文を書くのに必要かつ十分な実験結果を得られるように、実験を組み立てることができるようになるからだ。
小保方は、実験結果をたくさん得たが、完璧な論文を書くための過不足ない結果を出すことに、明らかに慣れていなかった。論文の不十分な箇所をきれいにしようと、論文を書きながら操作をしたために、「捏造」とまで批判されることになった。
 
3 生物の絶滅危機での環境激変、進化とSTAP細胞
 
「次々と襲いかかる絶滅の危機を生きのびるために、生物は巧妙なメカニズムを作り上げた。環境の激変によって遺伝子がダメージを受けないように、遺伝子を安定化させると同時に、細胞を作り上げるまでの遺伝子発現の過程を、極端に柔軟にした。
この柔軟性によって、超新星爆発によるγ線照射、隕石落下、大噴火などの、瞬間的に発生する絶滅の危機を乗り越えてきた。そればかりか、危機を進化につなげる能力まで獲得した。
その 柔軟性は、DNA鎖の遺伝子以外の部分によって担われている。DNA配列中の97~98%の部分で柔軟性を確保している、と思われる。このDNA鎖の大部分を占める、いわゆるジャンク領域の機能の大部分を、私たちはまだ知らない。
小保方自身が意識しているかどうかはともかく、小保方の研究の可能性とリスク(困難さ)は、この進化によって培われた遺伝子発現の高度の柔軟性と、直接に関係している。」
 
「生物進化の様相を考慮すると、細胞がそれまで順応していた環境とは異なる環境に、細胞を置くことによって、細胞を初期化できると思われる。新しい環境に適応した細胞(その集合体は個体)を生み出すために、細胞が万能性を獲得すると考えることに、無理はない。あらゆる物理・化学的な環境変化が、万能性獲得のための細胞へのストレスになり得る。
 
実験室のスケールで、細胞が進化を通して得た能力の確認をするモデルになるのが、STAP細胞の作成と考えることができる。溶液の酸性化のみならず、溶液のイオン・塩・アミノ酸濃度を生理的な範囲からずらすことによっても、万能細胞を作れるかもしれない。培養温度の上昇または下降や、放射線照射、振動など、いろいろな物理的刺激も有効かもしれない。培養時間の経過と共に、培養液中に細胞の代謝産物が増えるが、それも刺激の一種になって不思議ではない。」

万能性幹細胞から精子への変化の途中にある細胞が、幹細胞へ逆戻りする現象が、マウスの実験で知られている。薬剤などで幹細胞が死ぬと、この逆戻り現象が強化される。このような逆戻り現象は、精巣以外の臓器や組織でも起きていると思われる。
小保方の研究は、からだの中で起こっていることを、試験管内で再現するものだ。生物学的には、成功して当り前と考えられる。

 
4 再現性試験の難しさ
 
「細胞を洗浄するときに、細胞が入った溶液を細いピペットで攪拌する。攪拌のときの手の力の入れ方を、客観的に数字で表現することはできない。
個々の実験者の筋力が異なるだけではなく、一人の研究者の力の入れ方が、毎回完全に同じになることは、あり得ないからだ。バカンティが、細胞を毛細管に通すことを勧めているが、ピペッティングは、まさにそのようなコントロールができない物理的刺激になる。
このピペッティングの例でも分かるように、 あらゆる刺激が万能性誘発の原因になるとすると、実験が極めて難しくなる。STAP細胞作成の最適条件を検討するときに、極端に多様な実験条件を、正確にコントロールしなければならないからだ。 酸性化の影響を調べるには、溶液の酸性度以外のすべての条件を、一定に保たなければならない。
再現性試験の難しいことが、私の上のような推測の正しさを示唆している。
他の研究室で、あらゆる物理・化学的条件を小保方の研究室と同一にすることは、不可能だ。器具の操作には人間ファクターが入るので、そこでも条件を一定にはできない。それを小保方は経験的に知っていて、「コツ」という言い方をしたと思われる。からだで覚えたその「コツ」を、他人に明確に説明するのは困難だ。
 
 
5 活性が「ES細胞の100分の1以下」の意味
 
12月20日の日経新聞の記事をまとめると、次のようになる。
「検証実験で、弱酸性溶液に浸した細胞から、緑色に光る細胞塊が得られた。この細胞塊の万能性遺伝子の活性は、胚性幹細胞(ES細胞)の100分の1以下だった。キメラマウスの実験では、細胞塊を受精卵に注入して子宮に入れたが、緑色に光る胚は得られなかった」
使った細胞はひ臓の血液細胞なので、たとえ万能性遺伝子の活性があったとしても、とても低いと思われる。さらに、弱酸性溶液で処理すると、細胞自体の活性が落ちるので、全遺伝子の活性も間違いなく落ちてしまう。それにもかかわらず、万能性遺伝子の活性があったということは、とても重要な結果と考えられる。
この所見を無意味なものと結論づけたいので、 新聞では「活性は100分の1以下だった」と述べられている。正確にどれくらいの活性があったのかを、知りたいものだ。たとえ200分の1の活性だったとしても、万能性遺伝子の活性がとても高いES細胞との比較なので、この実験結果には大きな意味がある。
ただし、この程度の活性では、キメラマウスの作製には成功しない、という結果が得られたことになる。活性を上げる実験を積み重ねていって、もっと高い万能性活性にすれば、キメラマウスの作製に成功するはずだ。
今後やらなければならないことは、活性が上がる実験条件の検討になる。基礎研究では、研究者は、試行錯誤を繰り返す。メディアのバカ騒ぎとは関係のないところで行われる、長く根気のいる地道な仕事だ。
 
6 ハイデルベルク大学の研究関係
 
「2016年4月に、 ドイツのハイデルベルク大学の研究チームが、STAP細胞追試の研究結果を、ScienceDirecrt誌で発表した。 小保方の実験条件を少し改変し、白血病由来のT細胞株を弱酸性溶液で処理した結果、多能性マーカーの一つ(AP)を示す細胞が有意に増加した。 この処理によって死んだ細胞が多かった。過酷な状況下で細胞が万能化されるので、STAP細胞は、環境の変化が進化の原動力になることを示唆する、試験管内(in vitro)モデルの一つになる(上記)。
ハーバード大学が、日本を含む世界各国で、STAP細胞の特許を出願している。特許出願においては、大きく網をかけるのが普通で、この特許も、細胞にストレスを与えて多能性が生じる方法、と広くなっている。
見当違いな馬鹿騒ぎで、日本人の研究業績を日本人がつぶしている間に、海外では地道な研究と特許出願が続く。ハイデルベルク大学は、多能性マーカー陽性細胞の数を増やすと同時に、発現増大を目指している。」
 
7 小保方氏に対する告発関係
 
小保方を犯罪者にすることを目論んだ、告発状自体が、小保方の「無罪」を示唆している。
大学や研究所で研究していた研究者ならば、誰にでも分かる。引っ越し時のゴタゴタで、サンプルの移管がうまくいかないことがある。告発状によると、小保方は、若山のサンプルをリスト化して保管していた。自分のサンプルとは区別して、若山のサンプルを若山のために保管していた可能性が、大きい。
自分のものにしたければ、自分のサンプルの中に埋没させてしまうはずだ。そんなことは容易にできる。そうすれば、好き勝手に若山のサンプルを使うことができた。
「紛失した当時とほぼ同じ状況で」見つかったということは、小保方は、これらのサンプルに「ほぼ手をつけていなかった」ということだ。
研究用サンプルの中には「できふでき」があり、引っ越しの際に、研究者は良いサンプルを選んで持っていくのが、普通だ。上記の80本は、廃棄してもいい「ふできなサンプル」だったという指摘がある。」
 
8 笹井氏の指摘と科学者の姿勢について
 
「亡くなった笹井芳樹は、ES細胞に日本で最も精通していた研究者だった。2014年4月の記者会見で、STAP細胞(STAP現象)をES細胞ではない万能細胞と考える根拠を3つ、上に書いたように述べた。
小保方の研究に疑問を呈する研究者は、笹井の見解に論理的に反論しなければならない。その程度のこともやらない(できない)研究者には、小保方を批判する資格はない。
全く当り前なことだが、科学的な問題は、科学的な議論をできる場で、徹頭徹尾科学的・論理的に討論しなければならない。
 
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 以上ですが、
「部外者がSTAP細胞の真偽に迫りたければ、小保方ユニットで仕事をしていた研究者を、割り出すことです。」というご指摘に即して、寺下氏らの割り出しと論文等の検討が進められ、STAP細胞の研究実験には、どうやら知られていなかった意外な要素が少なからずあるようだ、ということがわかってきたということかと思います。
 
末尾の、
「小保方の研究に疑問を呈する研究者は、笹井の見解に論理的に反論しなければならない。その程度のこともやらない(できない)研究者には、小保方を批判する資格はない。」
 という指摘は全く同感で、科学界がそれを徹底的に回避して、「あれはES細胞だ」と強引に断定し、小保方氏や笹井氏らを断罪しようとしているところに、大きな不信・不審が生じているわけです。
 それを内々理解している人は少なからずいるとは思いますが、理解していない(できない、しようとしない)のだとすれば・・・度・・・(やめときます)。

 そういう議論をするどころか、その3つの理由をもとに「依然として有力な仮説」と科学者としての考え方を述べた笹井氏を、科学者にあるまじき態度であるかのように断罪した改革委と、改革委提言をまるごと追認した日本学術会議のバカさ加減には呆れかえったものです。彼らには中高生程度の日本語能力、文章組み立て・理解能力もないということを世間に晒しました。
 ノーベル賞を取るような優れた研究者であっても、その分野の研究では素晴らしい資質を発揮したとしても、「研究不正」やその処理のための公正手続き、物事の進め方には素人以前だったということもまた明らかになったところです。

 希望的観測も混じっているのは自覚の上ですが、STAP細胞研究は、常温核融合研究と同様の経過を辿っていくような気がします。
 いずれ復権を果たすことになったとき、STAP細胞事件の一連の経過における各プレーヤーが、何をしたのか? 何を言ったのか? 詳細な検証がなされて然るべきでしょう。
 常温核融合が否定されつつあった当時、当時の東大学長で原子核物理学者である有馬朗人氏が「もし常温核融合が真の科学的現象ならば坊主になる」と発言したとされた、とウィキペディアにありますが、STAP細胞研究の場合、それを人権侵害的言動により否定しようとした人々は、坊主になって済む話ではありません。