理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

不起訴によるNHKスペシャルのBPOの審理への影響

 
 今回のES細胞窃盗容疑での告発の不起訴処分によって、NHKスペシャルに関するBPOの審理にも影響が出てくるのではないかと思います。
 
 NHKは、取材によってボックスの所在と、所有・占有関係とをトレースしていけば、「窃盗」という被疑事実自体、成り立たないように思われますし、石川氏の主張に即して留学生のLi氏のES細胞を盗んだかのように捉えることはおかしいということはわかるはずです。
 NHKのクルーは、「なぜ小保方氏の研究室にボックスがあるのか説明してほしいと思います」といって、強引なパパラッチを働きましたが、盗難騒ぎの有無、移転契約書の有無、所有・占有関係(管理状況)の推移等について、理研と山梨大・若山研の試料や冷凍庫の管理担当者とに取材をすれば、ただちに分かる話のはずです。小保方氏は、若山研から譲り受けたと既に述べています。そのような基本的取材もせずに、あのような演出とナレーションをするというのは、明白な放送倫理違反だと思います。
 
 これだけではなく、笹井氏と小保方氏のメールの不適切なナレーションや、放送日の直前に発覚した、「僕の研究室にはいなかったマウスから」という若山氏の発表が間違っていたことに言及しないまま、「それでも、自分が渡したマウスによるものではない」という若山氏の主張をそのまま流して、小保方氏が捏造を働いた決定的証左であるかのような強烈な印象付けをしたことなど、人権侵害と放送倫理違反と認定される可能性は極めて高いと思います。
 
 ともかく、基本的な取材不足と、視聴者に小保方氏の捏造を刷りこもうとする思い込みと誘導という点で、かなり悪質な番組構成になっていると思いますが、それらによって、「重大な放送倫理違反と人権侵害」とが認定された場合、どうなるでしょうか?
 ここ最近相次いでいる決定は、極めて厳しい内容です。総務大臣の電波免許停止もありうるという発言は怖くなくても、真に怖いのはBPOだという声も報じられるほどです。
委員会では、放送の場面ごとに分析して、演出や受け止められ方などについても詳細に認定しています。そういうつもりはなかったと抗弁しても、客観的な受け止められ方を認定していきますから、確かに怖いでしょう。佐村河内氏のように不正を行った者でも、その訴えに対しては詳細な審理を行い、バイアスのかかった審理・決定などはしていません。そして、BPO決定は、上級審がありませんから、それで最終決定ということになります。


看板番組だけに、相当の打撃となりますが、そうすると、次に待っているのは、第三者委員会による原因究明と再発防止策です。第三者委員会は、弁護士等で構成されるのが通常ですが、そこでは一般的には徹底した事実関係の究明が行われます。そうすると、ボックスの件やLi氏への取材の関係では、理研関係者との関係が浮き彫りになってきますから、そこでどのように取材し、どう情報提供を受けたか、ということも明らかにされるのではないでしょうか。
その辺の動きが、小保方氏の名誉回復の契機にもなるのではないかと思われます。あとは、米国サイドの動きですね。
 
なお、話は飛びますが、小保方氏が早稲田大で博士号剥奪された際に、提出した博士論文とその関連データとを年度内を目途に公表する旨述べたことを以て、「早く出せ!」とプレッシャーをかけて、そこでまた攻撃の材料にしようとしている向きが見受けられますが、別に、その公表を急ぐ必要はないでしょう。
公表をいそがなければならない事情はありませんし、それで早稲田の対応がすぐに変わって、博士号が復活するわけでもないでしょう。早稲田の再指導の話はやはり酷い話だったということは、小保方氏の手記で明らかになりましたから、とりあえず今はそれで置いておいていいかと思います。
むしろ今は、BPO対応に傾注する方が優先順位が高いと感じます。予想に反して、BPOの審理が長引いています。小保方氏の手記が出たこともあると思いますが、論点整理と再度のヒアリングに向けた議論を重ねています。そこで整理され次第、双方に論点ごとのヒアリングの要請がきますので、それに対して万全の準備をすることが必要となります。
そして実際にヒアリングということになりますので、今後34か月ほどその対応にかなりの精力、労力を割かなければならないかもしれません。

 最近のBPOの決定は、裁判所の判決のような趣きさえありますし、裁判と異なるのは、当事者の主張に基づく受身的判断だけでなく、自ら分析評価した判断をしているものもあるということです。多数意見に反対や補足がある委員は、それはそれで判決の少数意見と同様に、詳細に判断を書いています。そういった訴訟並みの決定になる以上、小保方氏側も十分な判断材料をヒアリングを通じて提供していくことが必要と思われます。

そういう時に、NHKスペシャルとは直接関係しない早稲田大の博士論文を公表して、それへの批判その他に対してエネルギーを割かなければならないようにするのは、得策とは思われません。世の中、事情変更による方針変更など、いくらでもありますから、別に公約でもない前言に囚われる必要は全くありません。


あの精魂傾けたであろう手記を発刊したことで、世の中の受け止め方は明らかに変わってきていると思います。あの手記を軽んじて、自己陶酔だ、他人への責任転嫁だと言っている人々は、何が問題の所在で、何が論点なのかがわかっていないことを自ら認めているようなものでしょう。