理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

8-3 理研・自己点検委への違和感、怪しさ(8)―疑問⑦CDBの運営・組織改革提言にまで至るのは唐突で飛躍しすぎ。

(続き)
 なお、林GDのこのインタビューでの認識と、自己点検委との認識とはかなりのギャップがあると思いますが(小保方氏の採用経緯など、点検委の問題指摘を否定している部分があります)、竹市氏も林氏も見解が異なるというのであれば、いったい、この自己点検委報告書は、誰が主導して執筆し、どういうやり取りを経て、こんな代物になってしまったのか、それはそれで大きな関心事項です。


 林氏の発言で、小保方氏については、「非公開セミナーを開いた」とありますが、自己点検委の指摘と喰い違っています。開いたのであれば、点検委の提言どおりのことをやっていたわけであり、「そういう事例もあったし、優秀な人材を集めるためには必要」と述べるのであれば、なぜその考え方、留意点を、点検委報告書に盛り込まなかったのか、不思議です。
 随所に「運営体制の再構築、見直し」という言及がありますが、自己点検委報告書を改革委で追認させ、お墨付きをもらうつもりだったのが、全く想定外の展開になってしまい、困惑と焦りが全面に出ているインタビューだと感じます。
 
【参考掲載】
◎「解体提言は不当」理研再生研幹部研究員・林氏に聞く2014/6/18

「小保方氏の採用経緯、通常と違った 理研・林氏一問一答」神戸新聞2014/6/18 ))
 「 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(再生研)の林茂生グループディレクターとの一問一答は次の通り。
 
 ‐理研改革委員会の提言は、再生研の「解体」を促した。
 「私の意見が組織を代表するものではないが、(再生研が)存続の危機だという認識はある。生ぬるい対応で納得が得られるとは思わない。ただし、改革委の提言は今回の事例(理研によるSTAP細胞論文の不正認定)を基にしており、設立から10年以上になる研究所自体のレビュー(評価)がされていない。過去に不正があったかどうかや、積み上げてきた研究成果などの認識なしに、(再生研が)『不正を生む構造的欠陥があった』『解体すべき』と断言するのはさすがに不当ではないか。誠実に研究している研究者が大勢いる」
 「一方で、私を含めた(再生研)執行部への指摘は受け止める。運営体制の再構築は考えないといけない」
 
 ‐改革委は「iPS細胞(人工多能性幹細胞)を凌駕する画期的な成果を獲得したいという(再生研の)強い動機があったと推測される」とし、さらに「成果主義の負の側面が一つの原因」と断じている。
 「改革委が、外部から理研を批判する立ち位置なのはよく分かる。ただ、(論文問題が起こった背景だけでなく)なぜこの組織が駄目なのかという(再生研への)聞き取り調査などは十分にはされていない。STAP論文問題への対応が、組織そのものの問題へと飛躍してしまっているように感じる
 
 ‐提言は、小保方晴子氏の再生研への採用方法についても問題点を指摘している。林氏は人事委員会の一員でもある。
 「(選考の経緯が)通常と違ったのは事実。ただ、(小保方氏の採用ありきの)『出来レース』だったのではないかという指摘は違う。面接当日に採用を決めたことについて、人事委の中では異論も出たが、議論をした上で最終的には一致して決めた
 「(小保方氏は)米ハーバード大から鳴り物入りで神戸に来て、研究のプレゼンテーション(発表)も優れていたと聞いている。優秀な研究者なんだろうという認識が、周囲にはあった
 
 ‐普段の選考は英語による公開セミナーも行われるが、小保方氏の場合は秘密性保持のために省略された。
 「選考時に、小保方さん本人から研究内容を秘密にしてほしいとの要望を受け、人事委として認めた。非公開セミナーのみで選考した。原則は公開セミナーだが、同じ方法を採った事例は過去にもある。こうした例外対応をすべて排除したら、優秀な人材が集まってこないだろう。ただ、今回のことで言えば、研究内容を精査する機会の一つが減ったのは事実。十分に認識しないといけない」
 
 ‐実験ノートなどの研究データ管理の不備も指摘された。
 「(小保方氏の)実験ノートのチェックについては、若山さん(若山照彦山梨大教授)や笹井さん(笹井芳樹再生研副センター長)らの管理責任はある。(再生研全体の管理体制は)今後は厳しくならざるを得ないだろう。ただし、不祥事はどの組織でも起こる。管理強化だけでは問題をゼロにすることはできず、かつ、良い研究成果を出すという研究機関本来の目的さえも損なわれかねない」
 「今回のケースは特殊だと思う。(小保方氏の論文の問題を)見抜けなかった私たちの責任はあるが、管理教育を厳しくすることで今回のケースが防ぐことができたかというと、極めて困難だったのではないか。それでも、今思えば(STAP論文の問題点に)気付くチャンスはあった。採用面接を丁寧に行うこと、実験ノートを十分にチェックすること、(論文発表前の第三者による)再現実験によって論文を精査することなどだ」
 
 ‐今回は、問題発覚後の理研の対応も批判されている。
 「迅速にやっていれば、ここまで深刻にならなかったと悔やむ気持ちもある。批判は認め、受け入れる」
 「科学の世界は、研究の成果も失敗も研究者本人のもの。どういう処分をするのかは、個別に責任を判断するのが原則だ。組織自体の解体をもって責任を取らせるというのは、あまりに影響が大きい
 
 ‐「解体」に対し、再生研内では不安の声などが出ているのか。
 「研究員からはそうした声もあり、憤慨する声もある。私たち執行部は別として、現場の研究者は『真剣に研究しているのに、なぜ巻き込まれるのか』というのが正直な気持ちだろう。今回のようなことで一つの研究所がなくなるなら、海外から『日本はそういう文化なのだ』と思われて良い人材が来なくなる。運営体制への批判を受け止めた上で、冷静に考えるべきだと思う」
 
【参考】