2 STAP問題の基本的構図を揺るがす可能性のある小保方氏による提示事実
前回の続きです。
4 検証実験の制約(P217~225)
○「魔術を使うことを防ぐため」の制約各種
・監視カメラや立会人による24時間監視
・実験室に持ち込むもの、手に取るものはすべて記録。
・ほんの少し手を動かすこと、持ち直すこともできなくなった。
・立会人がいても、一歩でも先に実験室に入ることはできなくなった。
・釘穴も全部セメントで埋められた。
・赤外線カメラと光学カメラの切り替わり時には入室禁止。
・ポケットのない洋服での通勤。その上からエプロンを着せられたが、鉛のレントゲン防衣のように重く、体を自由に動かせない。
○手技に大きく依存するキメラ作製
・緑色発光する細胞塊が11月末までに確認されれば、検証実験は翌年3月迄行える条件になっていたが、検証実験成功の条件は、若山氏作成のキメラ作製成功に定めらてしまっていた。
・キメラは手技に左右される。若山氏は「自分にしかできない特殊な手技を使ってキメラ実験しているから、なかなか再現とれないよ」と何度も言っていた。
○見た目ではわからないキメラ
キメラは、初期胚に注入した細胞が作る組織の割合が低いと、見た目では判断がつかないことがあるので、担当者に「遺伝子解析してSTAP細胞の遺伝子がキメラにいるのかどうか確かめたほうがいい」と提案した。しかし、若山氏と同等のものができないと世間は納得しないとして却下。
○Oct4陽性細胞塊の発現
・7月中旬、丹羽先生から、「肝臓から採取してATPで酸処理した細胞塊からESと同等なくらいの多能性遺伝子の発現が確認されるようになった」との報告を受けた。
・8月に入り、小保方氏作製の脾臓由来の細胞のATP酸処理した細胞塊の遺伝子解析では、5つのうち3つに未分化状態を示す多能性遺伝子の発現があったとのこと。
・丹羽先生の検証実験でも、一定の再現性をもって多能性遺伝子とOCT4陽性細胞塊の確認されており、「この実験結果は、第一段階のOct4陽性細胞塊の発現の要件を満たすものだった。」
○自分で解析できないという制約
・STAP細胞は変化しやすいため、解析を迅速に行う必要があったが、解析のために別の場所には運ばれて第三者によって行わ、即時に結果をみることができなかった。実際にどのように解析されているのか知るよしもなかった。
・マウスから採取される細胞は、生き物であるため、状態には若干のばらつきがあり、少しの処理の違いによってもストレスへの応答が異なる場合がある。毎回、自分で解析結果を即時に見ることができていれば、たとえばストレスが少し弱かったと考えられたら、次の実験ではストレスを与える時間を少し延ばす等の細かな工夫ができた。
○笹井氏死後の中止の動き
・CDBのPIミーティングで、林先生が、「これを機に中止したほうがいい」と提案。
・しかし、竹市先生が、「科学的結果を見るまで続けるべきだ」と述べた由。
・相澤氏から、検証実験を続ける気があるか聞かれたが、「やります」と答えた。
5 理研と若山氏の関係、若山氏の証言の不審
○出勤再開後、川合理事に、情報管理する若山氏との圧倒的な情報量の差を訴えたところ、「理研上層部としても、若山氏が自分に有利な情報しか出してこないことに気がついている。途中までは若山さんのことを信じていたみたいで、調査報告書などの情報が渡っていたようだ。でもこんなやり方は正義じゃないと感じている」(P227~228)
○STAP幹細胞が増えて行く増殖曲線の図表について、若山氏は、「細胞の数の数え方をしらないので、小保方さんに任せていて、自分は途中経過をしらないうちに作製されたデータである」と証言したとのこと。細胞培養を日常的に行っている人が細胞の数え方を知らないなどは通常ありえない。(P229)
○STAP細胞がES細胞なら、STAP細胞塊をバラバラに注入している方法で成功していたはずである。STAP幹細胞がES細胞だというなら、若山氏が観察した、増殖能が低いSTAP細胞から無限増殖する幹細胞への変化が起こるはずがない。(P207~208)
○これらの実験で使われたES細胞は、アクロシンGFPという特殊なマウスから作製されたものだったと発表されたが、このマウスには「光る精子」を持つ特徴があるとのこと。若山氏は、キメラマウスのジャームライントランスミッションの実験の際、「光る精子」を自身で採集して実験していたにもかかわらず、6月の会見では、小保方氏がマウスや細胞を持ちこんだかのような推論を社会に植え付けた。
STAP幹細胞が若山研にいたマウス由来で、それがアクロシンGFPマウスであることがわかった事を教えてくれた人に、若山氏の「光る精子」の実験をしており、そのときの写真も残っていることを告げると、「確信犯」という言葉が返ってきた。(P208~209)
○STAP細胞が、胎児にも胎盤にも寄与することを発見したのは若山氏。2014年2月のネイチャーインタビューで、自ら発見したことを証言し、「細胞が別のものに置きかわったことはありえず、実験結果は絶対に真実だ」と証言。にもかわからず、4ヶ月後の6月の会見では、「胎盤への寄与は誰が見つけたのか?」と聞かれ、「忘れた」と回答している。
6 早稲田大の博士号剥奪
別途。