理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

バカンティ教授の米国防総省プロジェクトの成果発表の時に、改めてSTAP細胞が注目を集めるはず-軍学産共同プロジェクトとして展開中の模様

JISAIさんからの貴重なコメントをもとに、少し情報をたぐってみました。
 
1 米国防総省関係の「CDMRP」と「DARPA」の相違


 バカンティ教授が2012年度(会計年度:10/1~9/30)AWARDを受賞して70万ドル獲得したのは、
 CDMRP(theCongressionally Directed Medical Research Program)と呼ばれる米国国防総省、米国連邦議会主導の医学研究プログラムであり、運用に当たっては、米国防総省(特に陸軍)が密接に関与するそうです。
  同制度は、高い効果があるけれども、他の組織が出資しないハイリスク、ハイリターンの研究を助成するものとのこと。
  以下に制度紹介があります。
 
 これに対して、DARPAアメリカ国防高等研究計画局:Defense Advanced Research Projects Agency)は、軍隊使用のための新技術開発および研究を行うアメリカ国防総省の機関であるが、大統領と国防長官の直轄の組織で、アメリカ軍から直接的な干渉を受けない、とされています。

 
 DARPAは、海のものとも山のものともつかない基礎研究も取り上げる一方で、最近行われている防災用ロボットコンテストのように、かなり実践的な研究開発成果のコンテストを行って内外の大学、研究機関を競わせていますが、優勝なり入賞すれば高い技術的信頼性にお墨付きを与えることになり、ベンチャー企業の育成にも一役買っているようです。
 
ともに(特にCDMRP傷痍軍人の治療が念頭にあって、イモリ、トカゲ等のように組織を再生させる仕組みの人間での再現が問題意識としてはあると思われますが、DARPAでバカンティ教授らの研究が取り上げられているという証拠等はありません。バカンティ教授の目的と体制からすれば、CDMRPで十分なのでしょう。
 
2 バカンティ教授の研究
 
さて、それで、そのCDMRPの支援プログラムによるバカンティ教授の研究ですが、JISAIさんから教えていただいたように、同プログラムのサイトとで、「Award」の欄の検索をすると、ヒットします。
(PI Last Name: Vacanti で検索)
 
Stress-AlteredStem Cells With Decellularized Allograft To Improve Rate of 
Nerve Regeneration”


 で、2012年度(会計年度:10/1~9/30)の採択?で、71万ドルです。
 
 他方、もう一つ教えていただいた次の記事ですが、
 
 これは、AxoGenという(NASDAQ上場企業で神経修復技術のリーディングカンパニー( a leading medical technology company dedicated to peripheral nerverepair.)が、B&W病院がCDMRPから得た2プロジェクトの助成をシェアし、共同で取り組むことになったという記事のようです。合計して、190万ドルとあります。
 
 それで、今度は、B&W病院で検索してみたところ、
 
(Institutionを、BRIGHAM AND WOMEN'S HOSPITAL で検索)
 
 上記記事で言及されているもう一つのPOMAHAC, BOHDAN教授という外科医のプロジェクトがありました。
 
“Branched Nerve Allografts to ImproveOutcomes in Facial Composite Tissue Transplantation”
 
 2013年度の採択?で、112万ドルです(記事の「120万ドル」とほぼ一致)。
 
 これらを読むと、バカンティ教授の研究は、同様にCDMRPで採択されたB&W病院の外科医が主導するプロジェクトと一緒になって、AxoGenというリーディングカンパニーとと組んで、末梢神経損傷者の神経修復・再生移植の外科手術による回復を目指す、といったことでしょうか・・・。
 
 こうなってくると、バカンティ教授の研究は、国防総省(陸軍中心)の支援の下に、B&W病院が一丸となって、かつ、医療工学企業も加わって、軍産学連携の一大研究への発展しつつあるような印象です。


 CDMRPのプログラムの性格上、かなりチャレンジングで、通常の支援組織では採択しづらいような研究ということなのでしょうが、それでも、その研究の採択から進捗は、しっかりとチェックされるようです。
 
 CDMRPのサイトに、採択関係のガイドが掲載されています。
 
 これを見ると、申請から採択、途中経過の審査、成果の公表に至る一連の流れや留意点が書いてあります。
 どうも、”AWARD”というと、「受賞」ということで、その成果が高く評価されて与えられたという風な印象を受けるのですが、どうもここで言っているのは、「採択」ということのようです。
 P5に、各フェーズが図解されています。
 
【第1フェーズ】
・採択が内定したら、契約締結に向けての科学的アセスメント(安全、環境、動物・人間の使用等/予算・実施計画の評価/法的チェック)[6週間]
・陸軍医療研究部門との研究実施に関する取決め(定期的報告/研究の守秘等?)[3~6ヶ月]
 
【第2フェーズ】
 ・研究の実施管理[1~5年]
   →研究の変更等の場合には、第1フェーズに戻る[2ヶ月~1年]
 
【第3フェーズ】
 ・研究の完結(6ヶ月~1年)
   →発表、特許等
 
 バカンティ教授の研究が、どのフェーズにあるのか? ということですが、特許出願をしていますから、第3フェーズまで行ったということではないでしょうか? また、”InstitutionTransfer”も第2フェーズの研究の変更の一類型として書かれていますが、AxoGen社が加わったのは、それに含まれるのではないかと思います。
 
 これは、時系列で見てみるとわかりやすいです。
 
   採択は、2012年度 
   AxoGen社とPOMAHAC, BOHDAN教授の研究との軍産学共同プロジェクトとして、なったのが、2014年6月
   バカンティ教授が次の言葉を残して、休職入りしたのが、2014年9月。
「私の将来の目標を達成し、試みの方向性を変え、最も楽しい事をする時間のために1年間の休暇を取るつもりだ」
I plan to take a one-year sabbatical to contemplate my futuregoals,redirect my efforts and spend time doing some of the things that I enjoymost.
 
   米国特許出願が2015年3月(国際出願は1年前の2014年3月)
その特許出願の明細書には、JISAIさんによれば、次のような記載があるとのこと。
 
「請求項ClaimsにはSTAPは触れられていない("Sphere"とだけ)のですが、明細説明にはSTAP関連でプロトコル改良版と新実験の事が追加されていました。
プロトコル改良は、HBSS平衡生理食塩溶液水+ATPを使用したもの。(20149月に発表された追加プロトコルと同じ内容かと)
新実験の方は、成体ラットの脊髄損傷治療として、脊髄ニューロン(痛覚過敏応答と熱応答)の喪失後に脊髄ニューロンSTAP幹細胞移植で機能回復できたらしいです。
要するにこの新規特許は、20149月のSTAP追加プロトコルをベースに特許申請されたもののようです。」2016/1/17() 午後 2:06
 
 こうやって見てくると、「2012年度に採択されて以降、国防総省の定期的チェックと支援を受けながら研究を進め、B&W病院の後発のCDMRP採択プロジェクトとも組み、神経修復の医療工学企業の参画も得て、新実験を成功させ、特許出願も行った」ということで、研究は軍、企業、他の外科教授らとともに取組み、着実な進展を見ている、というような印象を強く受けます。
 時々言う人がいるような、実験の裏付けを伴わない論理だけの特許出願ではないということでしょう。
 
 2012年の採択以降ここまでかけて特許出願に至って第3フェーズまで来たのであれば、遠くない段階で成果の公表ということになるはずですが、CDMRPの検索サイトをみると、「seach  publication only」というのがあるので、それで、PI Last Name: Vacanti で検索しても、ヒットしませんので、まだその段階ではないのでしょう。
 
 しかし、いずれ公表されることでしょう。
 その時に改めて、STAP細胞に注目が集まるであろうことは,想像に難くありません。
 
 これで、改めて、断片的な事実が、一つの線で全てつながったような気がします。皆さんもちょっとした興奮を覚えませんか?(笑)
 日本の科学界、マスコミの視野からは決して見えてこない構図です。
 
全体の構図がこういうことになっているのであれば、ハーバード大B&W病院は、沈黙を守りながら、STAP特許出願を淡々と継続し、理研や早稲田大側からの開示・閲覧要請(したのかどうかわかりませんが)にも一切応じないのも当然の話で、論より証拠で、いずれ成果を発表するつもりなのでしょう。国防総省のプロジェクトとしての発表になりますから、その客観性、信頼性は極めて高いものとなります。
 
軍の革新的プロジェクトに採択されて国防総省の支援も得て、他のB&W病院のプロジェクトと合体して参画して、AxoGen社というリーディングカンパニーも参画してCEOが興奮気味に語っているという報道があり、その成果と思われる特許出願もなされて、バカンティ研のプロトコルによりSTAP細胞が作られ、STAP幹細胞から修復実験に成功した・・・という明細書の記述があるのに、これを全くフォローしないサイエンス雑誌やサイエンスライターって何なのでしょう・・・??
日経サイエンスはともかく(笑)、ネイチャーニュースとか、サイエンス誌とかは、CDMRP関係のプロジェクトは追わないのでしょうか?? 途中の過程では守秘義務がかかっているでしょうから、取材は難しいかもしれませんが、それでも、あれだけSTAP叩きでエネルギーを発揮したのですから、本件もそうですし、iMuSCs細胞に関するVojnits論文もそうですが、重要な関連情報として社会に情報提供して然るべきではないかと思います。


バカンティ教授のは脊髄/末梢神経の修復再生であり、iMuSCs細胞は筋肉(四肢)の再生ですから、傷痍軍人の回復という軍の要請にジャストミートする,まさに革新的な研究プロジェクトであり、そういう構図、視点に立って報じるメディアがあっていいのではないでしょうか?


※ この後、CDMRPで採択されたハーバード大B&W病院の、バカンティ教授のそれを含む2つのプロジェクト概要と、AxoGen社参加の記事を参考掲載しておきます。
 
 ※ 大きな勘違いとかしていたら、ご教示下さい。