放送倫理・番組向上委員会の12月15日会合の議事概要が公表されています
様子がわかるのは、最後の次の文章です。
「今回の委員会では起草担当委員が提出した「論点メモ」に沿って各委員が意見を述べた。次回委員会ではさらに議論を続け、論点の絞り込みと「委員会決定」の方向性に向けて審理を進める予定。」
論点の絞り込み、決定の方向性等については、まだ議論が必要のようで、次回で更に議論を続けるようです。
他の審理事案をみると、「人権侵害」の態様が、例えば、「テレビ放映での取材画面等で、本人とわからないようするはずだったのに、見る人が見ればその人だとわかってしまい、不利を蒙った」というような単一の論点で、しかも、科学者、法律家でなくても比較的判断しやすいというようなケースがしばしばあります。先般の「出家詐欺」報道や、現在、決定案が審理されている「ストーカー事件再現ドラマ」に関する2つの申立て事案もそのパターンで、論点整理後は比較的早く、委員会決定の起草作業に入っていました。
しかし今回のSTAP細胞についてのNHKスペシャルについては、既に以前に述べたように、申立て内容をだいぶ工夫しているように見受けられますが、それでも、ある程度の科学的理解と、法律的な知見とがどうしても必要になってくる論点が少なくないと思います。
そのため、まずは論点自体の理解と、それぞれの主張根拠についての理解を、科学的、法律的視点からしなければならず、加えて、論点が多岐に亘るため、議論に時間を要しているものと思われます。
上記の議事概要をみると、次回か次々回あたりには、委員会決定の方向性が出るのではないかと思われますが、それから起草作業となり、起草された委員会決定案についての審議でまた時間がかかりますので、最終決定となるのは、まだ先かもしれません。
法律家といってもいろいろな人たちがいることは、STAP細胞問題に関わった法律家をみるとわかります。しかし、このBPOの今年度の委員会決定をみると、政治・行政からの独立性、自律性を意識したこともあると思いますが、極めて詳細かつ慎重に審議して結論を出していますから、NHKスペシャルについても、きっと論点の整理と方向性についても、適切に判断してくれるものと期待しています。
今年度の審理案件では、内容と論点の多さ、複雑さにおいて、もっとも難しい案件ではないかと思います。
次回委員会は2016年1月19日です。