理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

再論:STAP細胞はES細胞であり得ないことを端的に示す若山氏のインタビュー発言(日経サイエンス)

 
 同じく日経サイエンスの昨年6月号の若山氏のインタビューですが、STAP細胞の形、大きさ等の様子が語られています。
 桂調査委では、STAP細胞は残っていないけれども、遺伝子配列データの解析から、ES細胞だと断じています。桂調査委の分析と判断根拠のほとんどは、遺伝子解析によるものが中心のようですが(+「光る胎盤」は、画像の観察)、大きさ、形状その他の様相等についての分析は、ほとんど無視されているように思います。それらは、笹井氏、丹羽氏らが材料を提示しているわけですが、桂調査委は、「彼らがどうしてそういっているのかわからないが、論文の不正調査とは関係がない」として、重要な判断材料を棚上げにしてしまっています。
 しかし、日経サイエンスにしても、この若山氏へのインタビューでは、それらの大きさ、形状、性質等の点について質問を重ねています。それらも鍵となる判断材料だと考えるからこそ質問しているわけでしょうから、それらが調査対象外だとして無視した桂調査委に対して、何らの異議を唱えない姿勢については、理解に苦しむところです。
 
 以下は、若山氏へのインタビューの関係部分の抜粋です。
 
STAP細胞はどんな細胞だったか
細胞が塊を作っていて,全体のサイズも細胞のサイズも桑実胚に似ていた。増殖して塊になったのではなく,バラバラだったものが集まってできたもの。そのままでは弱く,桑実胚と違ってすぐに死んでしまう。
STAP細胞は実は桑実胚だったのではないか。それなら胎盤も光るのでは
桑実胚ならば光る。だが小保方さんが(マウスから)桑実胚を取り出すことはなかったと思う。それに桑実胚ではSTAP細胞からSTAP幹細胞を作った時の変化を説明できない。
─詳しく教えて欲しい
STAP細胞からSTAP幹細胞への樹立は35日でできる。一方,(桑実胚よりも発生が進んだ)胚盤胞からES細胞を作るのでさえ1 2週間必要だ。桑実胚の混入では(これほど短期間でSTAP幹細胞になることが)説明できない。
STAP細胞からSTAP幹細胞に変わるのはそんなに速いのか
STAP幹細胞は増殖の速さからみて,1日目で増殖を始めている。樹立成績も,胚盤胞からES細胞を作るのは50%程度だが,STAP細胞からSTAP幹細胞は80100%と非常に高い。実験当時もこのことは頭にあったが,STAP細胞というのは本当にすごい細胞だと思っていた。
STAP幹細胞はどういう細胞か
外見も,増えるところもES細胞によく似ている。キメラマウス作りもSTAP細胞は独自の工夫が必要だが,STAP幹細胞ならES細胞と同じ通常の手順でできる。胎児にしかならず,胎盤にはならない点もES細胞と同じだ。
─もしSTAP細胞にES細胞が混入していたとしたら説明がつくのでは
ES細胞が浮遊培養によってSTAP細胞のような塊を形成するのであれば説明はつくかもしれないが,確認しない限りわからない。
STAP細胞からSTAP幹細胞ができなかったことはあるか。マウスの種類によってはES細胞がまだできていない。そうしたマウスからSTAP幹細胞を作ったことはあるか
STAP細胞からSTAP幹細胞を作ることに失敗した例はある。調査に関わることなので,詳しくはお答えできない。
─若山先生が持っていたSTAP幹細胞はマウスの系統が違っていたと聞く
129という系統のマウスから作ったSTAP細胞から樹立したSTAP幹細胞だったはずだが,(調べてみたら)系統が違っていた。ただし第三者機関に出すために増殖させ,ついでに自分でできる簡単な調査をしただけで,一部しか調べていない。論文に載ったSTAP幹細胞は,全部系統は合っていた。」
(出所)日経サイエンス20146月号(P59-60)
 
 若山氏が、上記の中で、STAP細胞について述べるところは、ES細胞では説明がつかないように感じます。
 
①「細胞が塊を作っていて,全体のサイズも細胞のサイズも桑実胚に似てい
 た」ということであれば、桑実胚とES細胞ではサイズが異なるだろう
 し、ES細胞では塊を作らないのだろうから、ES細胞とは明らかに特徴が
 異なる。
②「そのままでは弱く,桑実胚と違ってすぐに死んでしまう」のであれ
 ば、ES細胞ではあり得ない。
③「STAP細胞からSTAP幹細胞への樹立は35日でできる」とのことだ
 が、STAP細胞がES細胞(混入)だったのであれば、培養するまでもな
 く、すぐに樹立できてしまうはずである。
④「キメラマウス作りもSTAP細胞は独自の工夫が必要だが,STAP幹細胞な
 らES細胞と同じ通常の手順でできる」ということであれば、STAP細胞が
  ES細胞だったのであれば、STAP幹細胞と同様の通常の手順でキメラマウ
 スができたはずである。そうではなく、「独自の工夫が必要」だったとい
 うことであれば、それはES細胞ではなかったことの証左。
⑤「ES細胞が浮遊培養によってSTAP細胞のような塊を形成するのであれ
 ば(ES細胞混入で)説明はつくかもしれない」というが、遠藤氏は、「E
  S細胞は通常シャーレに接着し浮遊細胞塊とはなりませんのでやはり見た
 目で区別がつきます」と指摘しており、浮遊培養ができず、細胞塊になら
 ない以上、ES細胞ではあり得ないはず。「確認しない限りわからな
 い」との発言は、専門家ならすぐわかるはずの点を曖昧にしている感があ
 る。
  
 以上の通り、直接の実験当事者である若山氏の証言からすれば、STAP細胞がES細胞だったことはあり得ない、という結論が導かれると思うのですが、そういう問題提起が桂調査委員会でも科学者たちからも、何らなされないというのは異様な光景だと感じます。
 上記の話は、別に科学的知見の有無に関わりなく、普通に日本語の論理を追えば、そういう結論にしかならないと思うのですが、そうはならないのはなぜでしょうか??
 こういう話は、日経サイエンスの今年3月号の「STAP細胞の全貌」特集の中では、全く触れられていません。ひたすら、桂調査委が述べていることを右から左に書き流しているだけです。
 遺伝子配列データの分析といっても、残っていたSTAP細胞をかき集めたものだというのであれば、その分析にどれだけの意味があるのか、門外漢にはよくわかりません。それよりは、このような直接の当事者による直接の観察材料のほうが、はるかに有効な判断材料だと思います。
 
 DORAさんのブログのコメント欄で、JISAIさんからご紹介のあったネイチャーの最新記事(ワトソンさんからもこのブログのコメント欄でご紹介があります)にあるような、科学者の楽園である理研CDBに対する強烈な嫉妬により、一研究不祥事を以て、組織全体を解体するテコとするという日本の科学界の至上命題?からすれば、そのための中核的役割を担った改革委提言や、桂調査委報告はアンタッチャブルなものとして、その基盤が揺るぐような一切の批判は、封じ込める必要があるということなのかもしれません。
 日本学術会議までが尻馬に乗って威信を(客観的には)失墜させたほどの不可解な科学界の非科学的反応(集団ヒステリー)ですが、ネイチャー誌記事のような分析であれば、合点がいきます。