理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

【補足】胎盤発光に関して-なぜ「正体」のES細胞で追試しようとしないのか?

【補足】(2015.2.22

 須田記者の著書では、胎盤の発光に関して、次にような記述もあります。

 

「時期は不明だが、STAP細胞が胎児だけではなく、胎盤にも分化する、という「発見」もあった。ある関係者は、そのときのことを次のように記憶している。

小保方さんが持ってきた試料を見ると、確かに胎盤が光っているので皆「おおっ」と驚きました。でも、胎児の血液が流れ込んで光っている可能性もあるので、ちゃんと胎盤の切片を作って分析すべきだ、と数人が指摘しました。そうしたら彼女が後から「Oct41GFPがポジティブ(陽性)でした」と報告してきたんです

小保方氏の報告によれば、胎盤の組織でも万能細胞に特有の遺伝子(OCt4)が働き、緑の蛍光を発していたということになる。若山氏は、比較用に、ES細胞から作ったキメラマウスの胎盤も作り、小保方氏に渡した。だが、その切片の分析結果の報告は受けないまま、山梨大学に移ったという。」(P107-108

 

 「時期は不明」ということは、論文に掲載した切片画像のそれとは別の件なのでしょう。

 その時、研究室の「皆」が、「確かに胎盤が光っている」ことを確認したわけで、ただ、それが血液の発光かもしれない考えて、切片分析による確認の必要性を指摘した、ということは、若山氏の話と合致はします。しかし、ここで、一同が「おおっ」と驚いたことは間違いないわけです(この中に、若山氏がいたかどうかは、この記述からはよくわかりません)。若山氏が言うように、「マウスのキメリズムを高めるのが研究室のテーマの一つ」だったとすれば、それらのES細胞由来のマウスを作っているときに、同様の現象に接していると思うのですが、一同が「おおっ」と驚くということは、そういう現象は初めて見たということでしょう。

 若山氏が、「キメリズムが高いマウスによるES細胞から作っていたのだから、血液が光ることもあるだろう」と推測するのであれば、研究成果としてキメリズムの高いマウスの作成方法があるのでしょうから、それを使って追試してみれば簡単だと思うのですが、なぜしいないのかよくわかりません。

 それに、STAP細胞の「正体」なるES細胞も特定されているわけですが、それがキメリズムを高めた研究の成果であるES細胞だったのでしょうか? おそらくそうではないでしょう。この若山氏による推測は初期時点の話ではありますが、興味深い指摘ですので、検証されていいと感じます。

 

 本当に不思議に感じるのですが、桂調査委員会が、「あれはES細胞だった。これこれのES細胞と遺伝子が合致したのが何よりの証拠だ!」といって、「STAP細胞の正体は、ES細胞だった」と断定するのであれば、その正体なるES細胞を使って、追試をして確認すればいいと思うのですが、若山氏や桂調査委、理研を含めて誰も決してそれをしようとしません。若山氏は、「自分が何をやったのかわからなくなった」といって、論文撤回を呼び掛けたわけですから、目出度く「STAP細胞の正体」が明らかになった以上、それで追試をして世の中に提示する、というのが責任の果たし方だと思うのですが、そういうことにはなっていません。それもせずに、週刊新潮あたりに愚痴っている場合じゃないでしょう。慣れたES細胞なら、追試実験に手間暇はかからないでしょう。

 正体なるES細胞が目の前に残存しているわけですから、それで、あの電子顕微鏡で撮影された現象通りのことが起きるのかどうか、見せれば誰でも納得することでしょう。受精卵に注入する細胞の形状、大きさはどうなのか、塊か単体かは大きな論点だと思いますが、「正体」なるES細胞でやってみると、記録映像、画像通りのものになるのか、それは貴重な科学的判断材料になると思います。

 そんな簡単な裏付けのための科学的検証もやらずに、ES細胞による捏造だ! と叫んで、犯罪まがいのこと(いや、メール漏洩は立派な犯罪です)をして、あげくに刑事告発までして、小保方氏や丹羽氏、笹井氏が提示する科学的論点には一切答えずに、社会的に貶めることのみに奔走している姿が、科学不信・不審を招いているということに気が付かないのでしょうか・・・。


 須田記者のように、「残存資料を検証すべきだ」というのであれば、「残存しているES細胞で追試すべきだ」といってもよさそうなものを、なぜか言いません。

 NHKも高いコスト払って、東大に遺伝子データベースでのデータ解析を依頼はしますが、ES細胞による追試・比較の実験依頼はしようとしません。

 なぜこれで、ES細胞が正体だとして、科学者もマスコミも納得できてしまうのでしょうか・・・。


 なお、蛇足ですが、ES細胞混入説の批判をすると、「STAP細胞の実証ができなかったじゃないか」「論文通りになっていないじゃないか」という応答がなされる場合があるようです。STAP細胞が実証できていないことは確かですし、論文の間違いがあったことも確かでしょう。

 しかし、今回の桂調査委員会は、「STAP細胞の正体はES細胞だった」と断定したのですから、今度はその断定自体が検討対象になるわけですので、上記の応答は変です。逃げている形です。論文内容だけでなく、STAP細胞の有無に関する科学的調査をしたという桂調査委員会には、ES細胞では説明できないとして提示されている種々の材料の全てについて、整合性ある説明をすることが、求められています。告発云々ということを考えるのであれば、なおのことです。


※ 桂委員長の、不正調査委の冒頭の趣旨説明出の発言(2014.12.26会見)

「最初の調査委員会の後、主に理研内部でいろいろな科学的調査が行われて、データが溜まってきました。・・・報告としては、主に科学的調査が主体だが、論文についても調査した、論文の製作過程についても調査した。科学的調査としては、理研の各所の人が、自浄作用だと思うが、いろいろデータを出してきたので、それを第三者の目でどうかということをやった。