理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問

小保方論文の「改竄」「捏造」認定の不合理さ、バッシングの理不尽さ

STAP特許出願前提の研究成果を、理研所内で他と同列に発表することのリスク

 コメント欄での特許出願に関するご質問が続いていますので、まとめてご説明しておきます。これまでのコメント欄でのやりとりも併せてご覧下さい。それの続きになります。
 
理研をはじめ独立行政法人公益法人、大学法人等の研究機関は、いずれも非営利の研究機関です。豊田中央研究所のような株式会社の中の組織であれば、当然営利組織であり、社員として一般的守秘義務もかかりますし、不正競争防止法基づく営業秘密の漏洩防止義務がかかります。非営利の研究機関であっても、産学共同研究のような秘密保持義務がかかるような場合も同様です。それ以外に、何不正競争防止法に基づき営業秘密として指定するような研究成果等があれば、れは秘密保持義務は当然かかります。それらを漏洩してはならないことは当然です。
      ただ、産学共同研究、受託研究等以外では、非営利の研究機関は公開を前提に研究しているのが一般的ですから、漏洩防止義務がかかるようなケースはあまり思いつきません。
 
営利組織である企業であれば、社員には基本的には守秘義務がかかっているは
  ずですから、社員を対象とする社内発表ではただちに公知にはなりませんが、基本的には研究は公開するのが原則である非営利の研究機関である理研所内で、研究者であれば誰でも聴講できる研究発表の場で、秘密保持義務を課さずに発表したら、ただちに公知になってしまうという理解です。仮に秘密保持義務を課することにより公知にならないとしても、それが(保持義務を課された者が出願することはないと思いますが)聴講者から第三者に流れて、冒認出願されてしまうことは十分にあり得ます。実際、大学の研究室の研究についてそういうトラブルはあります。いつ間にか中国で出願されていたというケースはしばしば聞きます。そういう趣旨で書いています。
  仮に理研が所内の発表会で知得した研究成果は、所外に漏らしてはならないとした上での発表であれば、公知にならないかもしれませんが、自然科学の研究は組織や国境を越えて共有されるのが一般的である中で、そういう義務付けをしているとは考えにくいところです。義務付けをしていたとしても、インパクトの大きい研究であるだけに、第三者に流れるリスクがあることは容易に想像できます。

   
「不特定の者」について誤解しているつもりはありません。特定者か  
 不特定者かの峻別は実質的にはあまり実益はないと思います。直接  
 の相手が特 定者であっても、秘密保持義務がなければ不特定者に  
 流れることに等しい わけですから。要は相手に秘密保持義務がかか  
 り、それが担保されている かどうかがポイントになります。社員として
 守秘義務が一般的にかかって いればいいですが、守秘義務がかか
 らないような相手であれば、署名の入 った秘密保持同意書が必要に
 なります。しかし、それによって、発表して も公知にならない手続きを
 とったとしても、参加者又はそこから流れた第 三者が公開してしまえ
 ば公知になってしまいますし、先に出願されてしま えばそれを冒認出
 願であり、無効事由に当たりますので、無効審判を申し 立てて挙証
 できれば可能ですが、それは至難の業です。ハーバードとの共 同研
 究に関する特許出願で、しかも国際出願ですから、そのようなリスク 
 をあえて冒せるはずもありません。
 【補足】中国には、冒認出願の取消制度は、そもそもありませんから、出願されて   しまえばおしまいです。
 
仮に、企業の社内発表会と同様に、理研所内の発表会は所員として守秘義務参加研究者にかかっているから、発表しても公知にならないのだ、という理解に立ったとしても、米国ハーバード大との国際共同研究の一環であり、しかも、元々はハーバードに大元の着想があり、それを具体化するために先方からオファーされての共同研究です。企業との産学共同研究に等しい位置づけです。そういう類いの研究を、一般の公開前提の研究発表と同様の扱いで、発表会で多くの研究者に明らかにするなどはあり得ないことでしょう。企業との共同研究についてそのような扱いが考えられるでしょうか? その後の外部への流出による公知化、冒認出願等のリスクを考えれば、出願前には、とてもとても、所内の不特定の研究者の参加自由の研究
  発表会で発表するという選択などできようはずがありません。万一のことがあれば、その知的財産(になる権利)は水泡に帰し、損害賠償請求で訴えられることは必定です。
 
 以上で、私の意とするところはご理解いただけたと思いますので、これで打ち止めにしたいと思います。詳しくご説明する機会になりましたので、きっかけをいただいたことに感謝いたします

【ご参考】
 理研改革委提言での批判のうち、理研内部の研究討論会にかけなかったことをもって「秘密主義」と批判していることに関する本ブログの記事です。「秘密主義批判について」との項目をご覧ください。