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BPO決定に対する面従腹背的コメントを批判された朝日放送の事例


 BPO人権委の決定に対して、当初の広報コメントに問題があるとして、同委が批判する見解を明らかにしたというケースがありました。3年前の大阪の朝日放送の事例です。

 「大阪市長選関連報道への申立て」に関する委員会決定
   2013年10月1日 放送局:朝日放送株式会社
   勧告:放送倫理上重大な問題あり

 勧告の3か月後に出してきた「対応と取り組み」報告において記載された、勧告直後の広報コメントに対する批判的見解を出し、「決定の主旨と「勧告」の重みを受け止め、スクープ報道における表現のみでなく、取材のあり方そのものについても再度検討し、再発防止に努めるよう要望します。」としています。

 まず、その当初の広報コメントですが、次のようなものです。

「市会議員に寄せられた内部告発は、選挙の公正に関わる内容で、これを受けて市当局も調査に乗り出すことになりました。この問題は民主主義の根幹に関わることであり、これを速報することはメディアの責務と考えます。その後、朝日放送内部告発が捏造と判明するまでの過程も丁寧に報道しました。在阪の多くのメディアもこの問題を報道しています。ただ、朝日放送の最初のニュースの中で、表現方法など行き過ぎた面があったことについては、決定内容を真摯に受け止め、今後の報道にいかしてまいります。 」

 この広報コメントに対して出された意見が、次のものです。

  2014年2月21日 報告に対する放送人権委員会の「意見」

「本報告に記載の「広報コメント」は、本件放送の端緒となった内部告発が「選挙の公正に関わる内容」であって、「民主主義の根幹に関わること」と述べることから始まり、「表現方法など行き過ぎた面があったことについては、決定内容を真摯に受け止め」る旨を述べるにとどまるものとなっています。上記内容の「広報コメント」は、一般的、常套的な用語を用いて本件放送の正当性をなお主張するものとも読み取れます。このため、委員の中には、当該局の本決定の内容と重大性を真摯に受け止める姿勢に疑念を抱くとの意見もありました。

選挙に関する題材であれば、公共性・公益性があることはほぼ自明であって、本件放送で問われているのは取材や表現方法のあり方です。

 こうやって、面従腹背的姿勢を批判はされていますが、提出された取り組み報告を読むと、BPO決定に恭順の意を示し、それなりに再発防止に努める姿勢は十分に感じられます。

この面従腹背的事例に対して、NHKのコメントは、勧告を正面から否定するものです。

BPOの決定を真摯に受け止めますが、番組は関係者への取材を尽くし、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したもので、人権を侵害したものではないと考えます。」

 ですから、当然、BPO人権委として、これに対する批判はするでしょう。次回でこれを問題視するのか、それとも、NHKからの「意見交換していきます」との言の通りその申し出を待つのか、それとも3か月後の取り組み・改善報告を受けて行うのか、よくわかりません。
 しかし、これは勧告を直ちに否定したものですから、BPO人権委として直ちにこれに批判を加えなければおかしな話です。

 また、NHKの姿勢は、BPOの制度の仕組み自体を否定するというより大きな問題がありますから、それは、BPOという組織として対応すべき問題だと思われます。

■ おそらく、勧告・公表直後から始まった記者会見の最中に、ああいうコメントを出したということは、事前に、いくつかの決定内容を想定して、それぞれの想定に応じて用意されていた「予定稿」の一つだったと思われます。決定内容に、人権侵害とまではいえないとの少数意見がついていたので、それを予定稿に台詞として追加して発表したという流れでしょう。
 つまり、決定・勧告内容が人権侵害決定だったとしても、それを認めるつもりは初めからなかったものと思われます。それだけ悪質性が高いということでしょう。